少し懐かしいアニメをレビューするこのシリーズ。あまり知られていない隠れた名作や、最近アニメを見始めた人にもぜひ見てほしいオススメアニメなどを取り上げていく予定です♪
ちなみに前回の記事はこちら↓
そして今回レビューするのは2005年に公開されたアニメ映画「劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者」です。
※この記事には2003年に放送されたTVアニメ「鋼の錬金術師」の結末に関するネタバレがあります。TVアニメを視聴後の閲覧を推奨します。
「劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者」とは?
「劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者」は2003年~2004年にかけて放送されたTVアニメ「鋼の錬金術師」の最終話以降の物語を描いた作品で、初代ハガレンアニメの完結編とも言える映画です。
TVアニメの最終回で門の向こう側の世界に飛ばされたエドワードと、体を取り戻したものの兄と旅をした4年間の記憶を失ってしまったアルフォンスが、もう一度再会するために門の向こう側を目指すという物語。
TVアニメからスタッフ・キャストは全て続投しており、劇場版らしいド派手で迫力のあるアニメーションが楽しめます。
最終回からそのまま話が繋がってはいますが、監督の水島精二さんと脚本の會川昇さんのインタビューによればTVアニメはあの最終回できちんと完結しており、映画化が決まったのは第3クール辺りを執筆していた頃だったんだとか。
なので完結編とは言いましたが、見る人によってはTVアニメの最終回の方が好きという方もいるかもしれません。
水島精二さんと會川昇さんのインタビュー記事はこちら↓
アニメ映画にありがちな声優初挑戦の俳優やタレントを起用しているため一部ちょっと演技が気になるキャラクターはいるものの、津嘉山正種さんや小山力也さんなど大ベテランも出演しておりトータルで見ると演技面でも見ごたえのある作品だったかなと思います。
エドとアルの再会、そして2人が最後にどんな選択をするのか、ちょっと切なくもぐっと来る結末も満足感が高く、初代ハガレンアニメが好きな人には一度は見てほしい作品になっています。
舞台は現実世界の1923年ドイツ
TVアニメ最終回で門の向こう側の世界へ飛ばされたエド。そこからさらに2年後から物語は始まります。
錬金術ではなく科学技術が発達したその世界は、つまり私達が生きる現実世界と同じ歴史を辿った世界線。
第一次世界大戦と第二次世界大戦のちょうど間のドイツ・ミュンヘンが舞台で、作中には実在した人物が多数登場。そのためこの時代のドイツやヨーロッパについての知識があるかないかでかなり話の理解度が変わってくるように思います。と言っても最低限教科書に載っている程度の知識さえあれば充分かとは思いますが。
そもそもこの時代のドイツはワイマール共和国と呼ばれ、第一次世界大戦で敗戦後ヴェルサイユ条約が締結。ドイツは巨額の賠償金を支払うことになり、インフレによってドイツ国民は困窮することになります。
作中でも登場人物たちがヴェルサイユ条約に対する不満をあらわにするセリフが随所に見られ、その結果ナチスが台頭して第二次世界大戦へと繋がってしまうわけですが、「シャンバラ」はまさにこの時代を描いています。
TVアニメでは主に戦争や宗教、人種差別、錬金術の進歩と苦悩、そしてエルリック兄弟の絆が描かれましたが、本作のテーマは「自分と世界は無関係ではいられない」となっています。
TVアニメ最終回のその後が描かれたキャラクターたち
本作では門の向こう側の世界でのエドたちと、ハガレンの舞台でもある錬金術のある世界でのアルフォンスたちの活躍が同時進行で描かれます。そのためTVアニメでは描かれなかったキャラクターたちのその後や、マスタング大佐ら軍の活躍、生き残ったホムンクルスたちにもしっかりと決着がつけられています。
ここではTVアニメから続けての登場となったキャラクターたちを簡単にご紹介していこうと思います。
ここからは錬金術世界(アメストリス)側の登場人物たち
ここからは門の向こう側の世界(現実世界)の登場人物たち
アルフォンス・ハイデリヒ
アニメオリジナルキャラクター。アルにそっくりな少年。エドとはロケット工学を学ぶ中で出会い現在は同居中。穏やかで優しいが、病に侵されており……。
CV.小栗旬
ノーア
アニメオリジナルキャラクター。触れた相手の心を読める不思議な力を持つ美少女。「ジプシー」と呼ばれる祖国を持たない民族の出だが、本人は「ロマ」と名乗っている。
CV.沢井美優
グレイシア
ヒューズ中佐の妻・グレイシアさんにそっくりな女性。エドとハイデリヒが下宿する家の大家で花屋の主人。差別されるノーアにも優しく接する。
CV.三石琴乃
代表作:「美少女戦士セーラームーン」月野うさぎ、「新世紀エヴァンゲリオン」葛城ミサト
門の向こう側ではハイデリヒやグレイシア、ヒューズのようにアメストリスの人物そっくりのキャラクターが多数存在。他にもほとんど出番はないものの、ライラやラスト、スカーそっくりのモブキャラたちも登場します。
実在した人物をモデルにしたキャラクターたち
門の向こう側の世界は私達が生きる現実世界と同じ歴史を辿っているため、実在した人物をモデルにしたキャラクターたちも多数登場します。
ここではそんなアニメオリジナルだけどモデルが存在した人物たちをご紹介します。
デートリンデ・エッカルト
トゥーレ協会会長の女性。独自に魔術を研究し、門の向こう側の世界(アメストリス)を「シャンバラ」と呼びそこに至ることを目指している。モデルとなったのはディートリヒ・エッカート。実在したエッカートは男性だが本作では女性に変更されている。
CV.かとうかずこ
ディートリヒ・エッカート
国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス)の最初期主要メンバー。ナチスの母体の一つとなったトゥーレ協会に所属し、ユダヤ人の排除を訴えていた。史実では男性。
カール・ハウスホーファー
トゥーレ協会のメンバー。エッカルトの右腕的存在。TVアニメ終盤でエドが初めて門の向こう側に飛ばされた時にもちらっと登場している。ハイデリヒのロケット工学に興味を持ちパトロンになる。
CV.津嘉山正種
代表作:「逆境無頼カイジ」兵藤和尊、「ONE PIECE」ゴール・D・ロジャー(2代目)
カール・ハウスホーファー
ドイツの軍人で学者。ドイツ地政学の祖。ミュンヘン大学の教授でルドルフ・ヘスはこの時の教え子。ちなみに地政学とは国際政治において地理的条件を重視する学問のこと。
ルドルフ・ヘス
エッカルトの部下で、ハウスホーファーの弟子。ノーアを買い取ろうとしたりハイデリヒのパトロンになったりと実働部隊の隊長的な役回り。
CV.小山力也
代表作:「名探偵コナン」毛利小五郎(2代目)、「Fate/stay night」衛宮切嗣
ルドルフ・ヘス
国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス)の副総統であり政治家。ミュンヘン大学でハウスホーファーの教え子となり、その後ヒトラーの演説を聞き心酔、ナチ党に入った。
フューラー
セリフはなくエドたちの前にも姿を現すことはないが顔ははっきりと描かれている。モデルはヒトラーそのもので「ヒトラー」という名も出てくる。
アドルフ・ヒトラー
ドイツ国首相にして国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス)の指導者。主にユダヤ人に対する大虐殺「ホロコースト」を引き起こした人物。
フリッツ・ラング
オーストリア出身の映画監督。ユダヤ人だったためナチスから逃れフランス・アメリカへと亡命した。代表作は4時間超えの犯罪映画「ドクトル・マブゼ」。
「劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者」はどこで見られる?
「劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者」は2024年2月現在Amazon Prime Videoにて見放題配信中! TVアニメと一緒に何度でも楽しむことができます。
※本ページの情報は2024年2月時点のものです。
最新の配信状況は各配信サイトにてご確認ください。
今後も懐かしのアニメをレビュー予定♪
当ブログでは今後も少し懐かしい名作アニメや知る人ぞ知る隠れた名作アニメなどをレビューしていく予定です。
TVアニメ「鋼の錬金術師」のレビューはこちら↓
懐かしのアニメレビュー第1弾はこちら↓
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