アニメのOPと言えば作品の顔と言っても過言ではない重要な存在。OPのワンカットやフレーズがバズってその作品自体が人気になることも珍しくありません。
そして今年も記憶に残る素晴らしいOPテーマがたくさんありました。
今回は2024年に放送されたTVアニメのOPの中から、個人的に感動した20選をご紹介します。完全に独断と偏見によるランキングですので、2024年のアニメやアニソンを振り返りながら楽しんでいただければ幸いです。
それでは早速どうぞ↓
- 20位 Sesame/Kroi「ぶっちぎり?!」
- 19位 未完成ランデヴー/Lezel「かつて魔法少女と悪は敵対していた。」
- 18位 ホホエミホオト/降幡愛「アストロノオト」
- 17位 Another World/布袋寅泰「異世界スーサイド・スクワッド」
- 16位 poi/Saucy Dog「烏は主を選ばない」
- 15位 ブラックボックス/LiSA「NieR:Automata Ver1.1a 第2クール」
- 14位 次回予告/キタニタツヤ「戦隊大失格」
- 13位 いらないもの/キタニタツヤ × なとり「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-京都動乱」
- 12位 Bling-Bang-Bang-Born/ Creepy Nuts「マッシュル‐MASHLE‐神覚者候補選抜試験編」
- 11位 晴る/ヨルシカ「葬送のフリーレン」第2クール
- 10位 夢幻/MY FIRST STORY × HYDE「鬼滅の刃 柱稽古編」
- 9位 ROCK ME KISS ME feat. MOTSU/芹澤優「MFゴースト 2nd Season」
- 8位 絶対零度/なとり「WIND BREAKER」
- 7位 怪獣/サカナクション「チ。―地球の運動について―」
- 6位 VORTEX/鱼麦扣(白鲨JAWS)「時光代理人‐LINK CLICK-Ⅱ」
- 5位 プランA/DISH//「逃げ上手の若君」
- 4位 オトノケ/Creepy Nuts「ダンダダン」
- 3位 Same Blue/Official髭男dism「アオのハコ」
- 2位 あーーっす!/きただにひろし「ONE PIECE」
- 1位 ライラック/Mrs.GREEN APPLE「忘却バッテリー」
- まとめ
20位 Sesame/Kroi「ぶっちぎり?!」
作詞 内田怜央 作曲・編曲 Kroi
絵コンテ 内海紘子 演出 大峰輝之 作画監督 加々美高浩
アニメ本編は賛否両論で人気としては微妙な評価だった印象の本作。ただ個人的にはかなり楽しめました。その魅力がどどんと詰まったこのOPテーマもお気に入り。
なんと言っても音ハメが超気持ちいい! イントロから早速ハマってますが、サビの音ハメ三連発が特に気持ちよくて毎週見るのが楽しみでした。
平成初期の少年漫画風味が漂うコメディ要素満載な演出も見ていて楽しい。キャラデザはみんなスタイリッシュでかっこいいのに、主人公の荒仁と千夜がOPでもデフォルメされまくっているのも平成っぽさがあります。
アニメーションはおふざけ要素も多いのに楽曲自体は王道のかっこいいロックなのもギャップがあっていいですね。
ちなみにタイトルが「Sesami」なのは本作が千夜一夜物語モチーフで、かの有名なフレーズ「開けゴマ」から来ているであろうことにだいぶ後になってから気づきましたw。
19位 未完成ランデヴー/Lezel「かつて魔法少女と悪は敵対していた。」
作詞・作曲・編曲 夏目縋
絵コンテ・演出 大橋明代 作画監督 新井伸浩
15分という短さでありながら夏アニメの中でも絶賛の声が多かった名作ラブコメ。
主人公・白夜の可愛さを余すところなく堪能できるこのOPテーマは、淡いピンクの色味もあってとにかくキュート。
敵同士なのにお互い惹かれ合ってお茶デートばかりしている白夜とミラのほのぼのきゅんとした雰囲気がこの映像からでもしっかりと伝わってきます。
それと同時にヒシヒシと感じるのがどことない切なさ。本編を見ていてもすごく感じたのですが、二人の幸せな日常ばかりが描かれるのになぜか常に切なさが漂っているのです。
その切なさに拍車をかけているのが曲タイトル。
実はこの作品の原作漫画は作者の藤原ここあ先生が執筆中に亡くなったため未完。
「未完成なままでいいの エンドロールはいらないから」
という歌詞からも原作への想いが伝わってきます。
その一方で未完成だからこそ、敵同士である白夜とミラの小さな幸せを積み重ねていくランデヴーは永遠に終わらないのではとも読み取れて、愛に溢れた楽曲になっていることにまた胸打たれました。
18位 ホホエミホオト/降幡愛「アストロノオト」
作詞 森雪之丞 作曲・編曲 本間昭光
絵コンテ・演出・撮影・編集 山下清悟 作画監督 あおきまほ
あまりJPOPに詳しくない人でも分かるほどの大御所ヒットメーカーによって制作された楽曲であることにまず驚き。
凄いのは初めて聞いた瞬間からなぜか猛烈な懐かしさを感じるところ。本作自体が昭和のラブコメを彷彿とさせるアニメということもあり、OP映像からも楽曲からも昭和っぽさが全面に押し出されています。大正浪漫ならぬ昭和レトロというやつでしょうか。
映像を手がけたのは「呪術廻戦」1期OPや「チェンソーマン」OPなどここ数年アニメOPのディレクターとして活躍している山下清悟さん。どれもこれも超絶クオリティで、その例に漏れずこちらも傑作。
特に冒頭とラストで繰り返されるメインキャラクターたちによるダンスリレーが印象的。
全体的な色合いも柔らかく可愛らしくて、ユーモアもありつつほっこり癒やされて何より楽しい。もっと評価されるべき名OPテーマです。
17位 Another World/布袋寅泰「異世界スーサイド・スクワッド」
作曲・編曲 布袋寅泰
絵コンテ・演出・作画監督 宮本託自
ボーカルの無いインスト曲がアニメの主題歌に起用されることはそれほど珍しくはありませんが、布袋寅泰さんがアニソンを担当するのは中々に貴重かもしれません。
驚きなのはサビの唸る高音のギターサウンドが聴いているとだんだんボーカルに聞こえてくること。一流のギタリストはやはり凄いですね。かっこいい。
そんなパワフルなギターにも負けていないのがWIT STUDIOならではの躍動するアニメーション。よくよく見てみると動き自体は意外にもスローモーションが多用されていてゆったりとしているのに、あえてブレさせた線が動くことによって生の迫力を感じます。大胆さを重視して小綺麗にまとまっていないのがWITらしさ全開でまたいい。
何より目を引くのが1:10~1:12辺りの慟哭するハーレイ。ほんの数秒の短いカットなのですが生々しさと圧倒的なパワーが凄い。
DCコミックスのキャラクターを知らないとスルーしてしまうアニメファンも多いかと思いますが、このOPだけでも見る価値は充分すぎるほどあると思います。
16位 poi/Saucy Dog「烏は主を選ばない」
作詞 石原慎也 作曲・編曲 Saucy Dog
昨今のTVアニメとしてはちょっと珍しい全20話かつOPテーマが曲も映像も変わらないという構成。しかし毎週見ても飽きないどころか何度見てもわくわくが止まらない名作です。
個人的に好きなのはサビからの一連の流れ。四人の姫たちと皇后、若宮の兄・長束たちが一人ずつ映し出され、彼らを上下左右からぐるっと回り込みながら映していく大胆なカメラワークがとにかくかっこいい。
光と影の演出も秀逸で、まるで大河ドラマさながらの時代劇を見ている気分になります。
人の姿になれる烏たちの人間ドラマということもあり歌詞の中には「羽を伸ばして」「カァカァ烏合の衆」など鳥にまつわるフレーズが使われているのもお洒落。
また「平気な顔で躊躇いなく嘘をつく 騙し合い」という歌詞からは、朝廷や宮廷を舞台に繰り広げられる謀略や権力争いが描かれた第1クールの后選び編にぴったり。
ちなみに最近のアニメはEDのスタッフクレジットにOP・ED映像のスタッフも記載されていることがほとんどなんですが、この作品に限っては記載無しだったので不明です。気になる……。
15位 ブラックボックス/LiSA「NieR:Automata Ver1.1a 第2クール」
作詞・作曲 秋田ひろむ 編曲 出羽良彰
Director 堀内隆 演出 稲田正輝 作画監督 中井準
アニメ第1期EDテーマ「アンチノミー」を手がけたamazarashiのボーカル・ギターを担当する秋田ひろむさんが作詞・作曲し、LiSAさんが歌唱した楽曲。
かつてこんなに切なくて苦しいアニソンがあっただろうかと言うくらい、見れば見るほど辛くなる名OPテーマです。
この第2クールではバンカーの崩壊、ヨルハ部隊全滅、2Bの死など序盤からショッキングな展開の連続で今年一の鬱アニメと言っても過言ではないレベルの陰鬱とした内容でした。回を重ねるごとにOP映像の意味が理解できてしまってしんどくなる構成も憎い。
なのに映像は非常に美しく、圧倒的絶望なのにどこか神聖さすら感じられる映像美も素晴らしい。
そして極めつけは歌詞の内容。9Sの視点から描かれているであろう歌詞は原作ゲームをプレイした人やアニメを最後まで見た人なら刺さりまくる切なさ。しかしこちらも重苦しくなりすぎず美しさを感じられて、amazarashiと秋田ひろむさんの手腕に驚かされます。
なおフルサイズを聴いたことがない人はぜひ聴いてみてほしい。OPでは使われていないパートに強烈なフレーズがあって、初めて聴いた時はLiSAさんの歌唱力も相まってあまりの切なさに膝から崩れ落ちそうになりました……。
14位 次回予告/キタニタツヤ「戦隊大失格」
作詞・編曲・作曲 キタニタツヤ
絵コンテ 山口将(Ydot) 作画監督 古閑果歩子、羽山賢二
OPテーマなのに「次回予告」、そのセンスにまず脱帽。
週に一度、大戦隊と悪の怪人たちが“シナリオが決まった茶番劇”を繰り広げるというあらすじに合わせた「予定調和の今日が始まる」「それでも続けよう 誰のために?」など皮肉の効いた歌詞がまたお見事。
コーラスを子どもたちが歌っているのも戦隊アニメにふさわしく、子どもたちに「いけ たたかえ まけないで」「せいぎはかつ まけたらわるもの?」と歌わせているのも皮肉が効いていて本作らしい。キタニタツヤ節全開。
また大戦隊の5人のヒーロー(レッド、ブルー、グリーン、イエロー、ピンク)をイメージさせる色味が使われていたり、ブラウン管を思わせる少しザラザラとした質感もオシャレ。
13位 いらないもの/キタニタツヤ × なとり「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-京都動乱」
作詞・作曲 Tatsuya Kitani, なとり 編曲 Naoki Itai, Tatsuya Kitani, なとり
絵コンテ・演出 尾崎隆晴 作画監督 小林利充、浅尾宏成
まずシンプルに和柄や温かみのある色味が美しい。随所に和モチーフのデザインが散りばめられていて、水墨画のような背景も印象的。
何よりも上手いのが随所に盛り込まれた刀の見せ方。序盤では剣心だけが逆刃刀の上を仲間たちとは別にずっと先を歩いているのに対し、ラストでは数も増えた仲間たちとともに肩を並べて歩く姿に変化。
さらにサビでは次々と敵を斬る抜刀斎の殺陣→逆刃刀が上下ひっくり返りその上に葉っぱが乗る→斬られた人々の傷が消えるという一連の流れで、人斬り抜刀斎から「不殺」の流浪人になった剣心を見事に表現。あまりにも秀逸。
また一人で京都へと旅立った剣心を追って、船で移動する薫と弥彦、修行しながら旅する左之助、剣心を思いながらも東京で待つ恵、旅の道中出会った操と単身追ってきた蒼紫や斎藤一など、京都に向かうそれぞれの様子が描かれているのもストーリーに沿っていて楽しい。
派手さはないもののかなり作り込まれていて何度見ても飽きない完成度。
剣心の薫への想いを歌ったようにも聞こえる切ない歌詞もぐっときます。
12位 Bling-Bang-Bang-Born/ Creepy Nuts「マッシュル‐MASHLE‐神覚者候補選抜試験編」
作詞 R-指定 編曲・作曲 DJ松永
絵コンテ・演出 榎戸駿 作画監督 東島久志
初めてこのOPを見た時の衝撃たるや。風邪の時に見る悪夢かな? しかし見れば見るほどクセになり、そうしているうちにマッシュルファンやアニメファンすら飛び越えて世界中で大バズリしていました。
世間的にはマッシュルそのものよりもサビ部分のマッシュのダンス(通称BBBBダンス)が有名ですが、耳に残る「ブリンバンバン、ブリンバンバン、ブリンバンバンボーン」のメロディに誰でも踊れる超シンプルな振りをつけた絵コンテ・演出の榎戸さんの功績も凄いですよね。このダンスがなかったらここまでバズってなかった気がします。このダンスをアニメ出演声優たちに踊らせたアニメスタッフも素晴らしい。
ただ凄いのはそれだけではなく、マッシュルの内容にきちんと沿った歌詞、原色(主に黄色)と黒を多用したパキッとした色使い、スタイリッシュとギャグが入り乱れる楽しいアニメーションなどこの作品にハマったOPテーマとなっているところも完璧。とにかくマッシュルらしさをこの90秒だけに詰め込んでいるのが素晴らしい。
「あ、キレてる」の歌詞でツッコミ担当のフィンくんのカット、「誰も口を挟めない」の歌詞でマッシュのバトルをぽかーんと見つめているフィンとレモンちゃんのカットなど、歌詞と絵の合わせ方も見ていて超楽しい。
11位 晴る/ヨルシカ「葬送のフリーレン」第2クール
作詞・作曲・編曲 n-buna
絵コンテ・演出 斎藤圭一郎 総作画監督 長澤礼子 作画監督 瀬口泉
ほとんどが「一級魔法使い選抜試験編」について描かれたこの第2クール。OP映像も試験編にフィーチャーされており、フリーレンらと共に試験を受ける受験者たちの姿が描かれています。ストーリーの内容に沿ったシーンが多数使われていて、各受験者たちの魅力や見せ場が詰まっていて、このOPを見るだけで本編の名シーンが蘇ってきます。
作詞作曲したヨルシカのn-bunaさんいわく、「この曲は晴れを書いた曲です。正確には晴れではない状態から晴れを願う曲です。」(出典:音楽ナタリー)とのこと。歌詞自体は抽象的で誰の視点から歌われているものなのかはっきりとはしませんが、「晴れに晴れ 花よ咲け」など印象的なフレーズが多く一度聴いたら頭から離れないほどキャッチー。
個人的にはフリーレン目線かヒンメル目線かなあ、なんて想像して楽しんでいます。ちなみにヒンメル(Himmel)はドイツ語で空や天という意味があるらしく、晴れというテーマはそこから来たのかも?
圧巻なのはやはり躍動するアニメーション。特にサビのラヴィーネとカンネ、デンケン、ラントとシャルフのアクションは見応え抜群。何度見ても飽きません。
第1クールOPの「勇者」では全体的に寒色系が多く使われており淡い色使いの印象が強かったのに対し、こちらは彩度高めで非常に色鮮やか。曲タイトルの「晴る」にぴったり。
10位 夢幻/MY FIRST STORY × HYDE「鬼滅の刃 柱稽古編」
作詞・作曲 MY FIRST STORY、CHIMERAZ 編曲 CHIMERAZ、MY FIRST STORY
絵コンテ・演出 外崎春雄 作画監督 松島晃
鬼滅の主題歌はどれもこれも名曲ばかりですが、個人的には歴代最高傑作だと感じました。ただそう感じたのは柱稽古編終盤になってから。
柱稽古編は鬼滅の中でも特に短いシリーズでアニメだと全8話、内容もシリーズ名通り炭治郎たち鬼殺隊の面々が己と向き合ったり厳しい修行に励むというもの。ここだけ見ると「夢幻」の歌詞とはかなり内容がズレてるように感じられます。
ところがアニメ終盤、お館様の住む産屋敷邸に鬼舞辻無惨が現れ、彼が実は産屋敷家の先祖だったことが明らかになることで一気に歌詞の意味が理解できる構成になっていました。そしてこの歌詞が天才的。
この楽曲はMY FIRST STORYのHiroとHYDEによるツインボーカル。歌詞と照らし合わせるとHiroの歌唱パートがお館様、HYDEのパートが無惨をイメージしていることが分かります。どちらがどのパートを歌っているのか分かりづらいという人はMVが非常に分かりやすいのでオススメ。
「憎い」「醜い」や「花のように意思を繋ぐ」「嵐のように心を裂く」などお館様VS無惨の構図になっている歌詞の完成度たるや。それを男性Wボーカルで歌わせるのも発想の勝利ですし、何より50歳を超えても若々しい姿が全く衰えないHYDEを無惨パートに当てた人が天才オブ天才。MVの赤いカラコン入れたHYDEがまた超かっこいい。
アニメーションは安心安定の鬼滅クオリティですが、個人的にお気に入りはBメロ頭の「憎い(憎い) 醜い(醜い)」のパート。背中合わせから向かい合うお館様と無惨の演出がたまりません。柱稽古編最終話とこのOPの親和性が本当に神がかっていて衝撃でした。
9位 ROCK ME KISS ME feat. MOTSU/芹澤優「MFゴースト 2nd Season」
作詞・作曲 MOTSU 編曲 大久保薫
絵コンテ 高橋成世 演出 中智仁 総作画監督 恩田尚之 作画監督・原画 オグロアキラ
車に微塵も興味がなかったのにアニメのクオリティが高すぎてドハマリしています。
本作の魅力はなんと言っても超リアルな車の描写と大迫力のレースにあるのですが、その魅力が詰まっているのがこのOP映像。
第2期前半で描かれる芦ノ湖GT決勝は雨の中行われるということで、OP映像にも雨天でのレースが登場。このOPからでも分かりますが雨、そして水飛沫の表現がリアル過ぎてエグい。
ノリノリでアップテンポな楽曲に合わせた激しめのカメラワークもレースの凄みを増幅させていて、毎週このOPが始まった瞬間にテンションMAXになれます。
またMFGドライバーの中でもカナタと共に上位争いを繰り広げるキャラクターたちをナンバーや車種、そして名前が紹介される演出も楽しい。キャラ数が多いので名前と顔を覚えやすくなってありがたいのもありますねw。
本作を制作しているFelixFilmは3DCGを強みにしていることもあり車のCGがハイクオリティですが、それと同時にキャラ作画も一切崩れることなく常に神作画なのが素晴らしいところ。
8位 絶対零度/なとり「WIND BREAKER」
作詞・編曲 なとり
絵コンテ・演出 田口智久 作画監督 川上大志
シンプルにかっこいい。映像の質が本当に高い。その中でも色彩が非常に印象的。少しセピアっぽいくすんだカラーがかっこいいんですよね。
Aメロの学校内での部分は光と影の使い方が効果的で、光の差し方もぼんやりとしていてリアル。
全体を通して空気感が写実的で本当に美しい。
作画レベルが高い制作会社として近年定評のあるCloverWorksさんということもあり、作画ももちろんハイクオリティ。
サビから始まる喧嘩アクションはどれも見どころですが、中でも圧巻なのは蘇枋くんのカンフーっぽいアクション。ここの動きと大人数相手の立ち回りがかっこよすぎて毎週見るのが超楽しみでした。
正直なところ、本編の内容はあまり好みではなかったので、このOPがなかったら最後まで見ていなかったと思います……。
7位 怪獣/サカナクション「チ。―地球の運動について―」
作詞 山口一郎 作曲・編曲 サカナクション
絵コンテ・演出 岩澤亨 作画監督 長澤礼子
サカナクションがアニメの主題歌を担当するのは初だということで一体どんな音楽になるんだろうと見る前は想像もつかなかったのですが……かっこいい!
実を言うとサカナクションの曲はあまり聴いたことがなくそもそもアニメに合うのか? と少し疑問でした。しかし実際見てみるとばっちりハマっていて驚き。浮遊感のあるサウンドの印象があるので、宇宙や天体がテーマの本作と親和性があるのかもしれません。
絵コンテ・演出は「葬送のフリーレン」や「takt op.Destiny」でアクションディレクターも務めた岩澤亨さん。
「チ。」自体は地動説を研究し宇宙の真理を追い求める人々の物語なので本編にはアクション要素はほとんどないのですが、それに反してこのOP映像には躍動感が溢れています。特にサビからのアニメーションはアクションアニメかと思うくらいの緊張感と滑らかな動きで何度見ても気分が高揚してしまいます。
そしてアニメファンにとってたまらないのが本編の進行に合わせて映像が変化するマイナーチェンジ。こういう演出にとかく弱い。
また原作未読のアニメ派視聴者からすると、回を重ねるごとにOP映像に登場するキャラやワンシーンの意味が分かってまた鳥肌。
6位 VORTEX/鱼麦扣(白鲨JAWS)「時光代理人‐LINK CLICK-Ⅱ」
作詞・作曲 鱼麦扣(白鲨JAWS) 編曲 白鲨JAWS、WILLIM缪维霖
OP総監督 Somei
発想の勝利という言葉がここまで当てはまるアニメOPはおそらくないでしょう。アニメ史に残るほどの大傑作。
まず本作は写真を介して過去の出来事を把握・介入できる能力を持つ二人の青年が主人公。第1話で主人公のトキが写真の中に入りほんの些細な過去を変えてしまったがために、次々と事件に巻き込まれていくタイムリープサスペンス。
一見何の変哲もないOPテーマに見えますが、1:02秒でトキとヒカルの指先が触れ合うカットを堺に強烈な違和感に襲われます。それまでは英歌詞だったのが急に聞いたこともない言語に変化しており、それは1:02から音声が逆再生されているため。
一方の映像も1:02から巻き戻っているように見えますが、こちらは良く見ると実は前半部分の方が逆再生されていたことが分かります。
過去を変える、時を戻すという作品の設定を逆再生で表すその発想が天才的。
またさらに本編の進行に合わせて映像の細かな部分も変化しており、アニメオタクが大好きなOPのマイナーチェンジも楽しめます。
5位 プランA/DISH//「逃げ上手の若君」
作詞 北村匠海 作曲 DISH// 編曲 新井弘毅
絵コンテ・演出 黒木美幸 作画監督 西谷泰史
日本の手描きアニメーションの魅力が全て詰まった傑作。OPが始まった瞬間から終わりまで登場人物が画面内を縦横無尽に動き回っていて、それらが全て滑らかな動きなのが見る度に感動。そして作画コストに慄きます……。とんでもない労力なのが容易に想像できますね。
作画と同じくらい素晴らしいのが色彩。まずイントロからして圧倒的色彩センスに目を奪われます。パッと見はかなり色鮮やかで華やかなのに、マットな色味だからか目に優しく時代劇の内容にも合っているのが絶妙。
近年のアニメOPで良く見る光を効果的に使った写実的な演出とは真逆の、ちょっと懐かしい和風な雰囲気がたまりません。
またテロップのフォントや大きさも昭和や平成初期のアニメっぽさがあって、それも懐かしく感じる要因かも。
逃げることで英雄となった北条時行が主人公ということもあり、歌詞の中にも「逃げが勝ちなのさ」「生きてこそだろ」という本作に沿った歌詞が散りばめられているのもアニメファンとしては嬉しいポイント。時代劇なのにタイトルが思いっきり横文字なのもハイセンス。
4位 オトノケ/Creepy Nuts「ダンダダン」
作詞 R-指定 作曲 DJ松永
絵コンテ・演出 Abel Gongora 作画監督 野田友美、湯団、灰色菓兒、粉糸、阿鬼
「よふかしのうた」主題歌を手がけて以降アニメタイアップが増えているCreepy Nuts、過去最強の神曲が爆誕してしまった気がします。
幽霊や都市伝説、UFOや宇宙人などオカルトをテーマにした作品ということもあり歌詞にはこれでもかとオカルトモチーフのワードが詰め込まれています。特に2chのオカルトスレッドから広まったとされる「八尺様」や「ヤマノケ」、「お憑かれさま」などオカルトマニアにはたまらないこだわりっぷり。
余談ですが2番の歌詞には近年ヒットしたジャンプ漫画を彷彿とさせるフレーズが盛り込まれているとも言われており、考察が楽しいのはこの楽曲の魅力のひとつ。
個人的には結構激しめのラップなのかなと思いきや、Bメロから一気に静かになりサビからはどんどんエモーショナルな雰囲気になっていく構成がとても好みでした。曲の前半と後半で印象がガラッと変わるのが面白いですね。
そしてこの次々と変化していく楽曲に合わせた映像も超ハイセンス。モノクロのシルエットやちょっと昭和風味なテロップなどただただお洒落。
このOP映像の絵コンテ・演出・撮影・編集を手がけたAbel Gongoraさんはスペイン出身のサイエンスSARU所属アニメーターさんとのことですが凄まじい才能を感じますね。圧巻です。
3位 Same Blue/Official髭男dism「アオのハコ」
作詞・作曲 藤原聡 編曲 Official髭男dism
絵コンテ・演出 荒木哲郎 総作画監督 谷野美穂 作画監督 齋藤千尋、葛原詩乃、柴田駿
曲がヒゲダンで絵コンテ演出が荒木監督な時点でもう勝ち確……ってレベルで超次元。
まず映像に関しては冒頭の千夏先輩の横顔カットから一気にこの空気感に惹き込まれます。肌や髪の艶、瞳に反射する光、髪の毛一本に至るまで緻密に描き込まれたあまりにも美しいワンシーン。
その後も部活の練習や日常の何気ない風景と、バドミントンに打ち込む大喜のど迫力なアクションが交互に移り、静と動のメリハリで心を掴まれます。なんかもう……全てのカットが美しすぎてそれ以外の言葉が出てきません。
そして楽曲。ヒゲダンのアニソンは本当に外れがないですね。バンドらしさはそのままに、作品にぴったり合わせた世界観が本当に素晴らしい。
映像の力もあるとは思いますが、澄み切った透明感を見事に表現したサウンドに感動しました。
それとサビ終わりの「あなたという季節の中で」の空を突き抜けるような藤原さんの歌声にも、何度聴いても胸打たれます。気持ち良すぎる。
2位 あーーっす!/きただにひろし「ONE PIECE」
作詞 藤林聖子 作曲 田中公平 編曲 中村 博
コンテ・演出 石谷恵 絵コンテ協力・作画監督 森佳祐
2024年1月からスタートしたエッグヘッド編のOPテーマ。ワンピと言えばのきただにひろしさんはこの曲が「ウィーアー!」「ウィーゴー!」「OVER THE TOP」に続いて4度目(氣志團とのコラボ曲「ウィーキャン!」も入れれば5度目)のタイアップ。
「あーーっす!」という特徴的なタイトルは歌詞中に度々出てくる「all of us」が由来のようで、まさにこれまでの「ONE PIECE」集大成のような楽曲。
ノリの良いメロディは実にワンピらしく聞いているだけでワクワクさせられます。「夢の果て 海の果て」や「ここからがONE PIECE!」などまさにこの作品のために作られた楽曲であることが伝わってくる歌詞にも胸が熱くなります。
しかし何よりも素晴らしいのが作画。TVアニメの限界に挑戦し続ける神作画を連発しているだけあり、間違いなく過去最高のハイクオリティを見せつけてくれました。
カラフルなのに目に優しい彩度で、全体的に丸っこい絵柄のキャラクターたちが可愛い……のにちゃんとシリアスな部分も感じられる。画面から飛び出してきそうなほど躍動感たっぷりのキャラクターたちが飛び回り、ポップな作風は令和らしさもあり、けれどワンピらしさもしっかり表現されている。
個人的には初代OPの「ウィーアー!」や2代目の「Belive」など初期の神OPたちに並ぶレベルだと思います。
1位 ライラック/Mrs.GREEN APPLE「忘却バッテリー」
作詞・作曲 大森元貴 編曲 久保田真悟(Jazzin’pack)
絵コンテ・演出・撮影 神谷雄貴 作画監督 長谷川ひとみ
2024年のマイベストアニソンがこちら。
繊細なイントロから始まり青い空がよく似合う爽やかさと青春の儚さ、切なさ、ほろ苦さが全て詰まったあまりにも美しい一曲。
このOPからは想像もつかないほど本編はくっだらないギャグや下ネタが多いのですが、中盤からは野球に青春を捧げた高校生たちの辛く苦しい過去が明らかになり、その度にこのOPテーマが深く突き刺さるようになりました。
「埃を被っているのに 誇りが光って見えるように」や「痛みだす人生単位の傷も 愛おしく思いたい」など大森元貴さんらしい歌詞の言い回しにも脱帽。
フルサイズでは2番の「主人公の候補 くらいに自分を思っていたのに 名前も無い役のような スピンオフも作れないよな」という歌詞に打ちのめされました……しんどい。
そして映像がまた素晴らしい。絵コンテ・演出の神谷雄貴さんは「呪術廻戦」2期のOPも手掛けた近年注目の映像作家。
忘却バッテリーらしいコミカルなかけあいから、それぞれの苦悩をほんの数秒で魅せる表現力、サビではスポーツアニメであることを思い出させてくれる疾走感と迫力あるアクション。
画面全体の色味や空気感はどこかリアルでほのかに切なさも漂っているのがまた心に残ります。
まとめ
いかがだったでしょうか?
どれもこれも神曲揃い、神OP揃いで順位付けが本当に大変でした。全部1位にしたいくらいです^^。
近年のOPはスタッフクレジットやテロップのフォントなど細かいところまでこだわっていて、より芸術性が高まっているように感じます。
以前は公式さんが公開する映像のほとんどがノンテロップ動画でしたが、最近はあえてテロップをそのままで公開する作品もあり、文字が入って完成するよう緻密に計算されているのが分かります。
来年はどんなアニメに出会えるのか今から楽しみですね。今後さらに進化していきそうでわくわくします。
それではここまで読んでいただきありがとうございました!
なお近日中に2024年のアニメEDランキングも公開予定です♪
11/28追記 EDランキング公開しました!
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