今回は2024年に放送されたTVアニメの中から特に印象に残ったEDテーマを厳選しました。独断と偏見でランキング化した順位なので、2024年のアニメを振り返りながら楽しんでいただければ幸いです。
ちなみに2024年のTVアニメOPテーマランキングはこちら↓
それでは10位からどうぞ!
10位 らぶじゅてーむ/甲田まひる「ぶっちぎり?!」
作詞 甲田まひる 作曲 甲田まひる / 野村陽一郎 編曲 野村陽一郎
絵コンテ 内海紘子 演出 鴨居知世 キャラクターデザイン・総作画監督 ちゃまこう 作画監督 堀江由美
千夜一夜物語モチーフの作品ということもありEDはアラビアン風。本編には1ミリも登場しない異国の衣装を纏ったキャラクターたちが、ヒロインのまほろを取り合うという演出。このEDだけ見たら少女漫画みたいなアニメなのかなと誤解しそうな映像ですが、本編ではそもそもまほろに恋するのは主人公の荒仁のみで、他の男たちはまほろに興味ゼロなのがおもしろポイント。
Bメロの静止画が2枚続く箇所は話数ごとにキャラクターが変わり、いろんな男子たちとまほろのツーショットが楽しめますが本編にはなんの関係もありませんw。
また手でハートマークを作るラストカットも話数ごとにキャラクターが変更。このマイナーチェンジが楽しい。
一度聴いたら耳から離れない独特のリズム感とメロディもくせになります。曲に合わせたキャラクターたちのダンスも楽しくて、唯一無二の存在感を放つキュートなEDです。
9位 愛故/むト「百千さん家のあやかし王子」
作詞 む卜、Fzi 作曲・編曲 福島章嗣
アニメーター 岡真里子 デザイナー 水野歌
TVアニメのED映像としては王道である縦スクロール型。ものすごくシンプルですが、目を引くのは色彩豊かな和柄。キャラクターたちの小物や着物、そして背景がとんでもなく美しい。触れたらザラザラとしていそうな和紙のような質感にも驚きです。アニメで質感すら想像できるほどリアルな再現はあまり見たことがありません。
このED映像を手掛けたのはビジュアルデザイナーの水野歌さんで、本作の和柄デザインも担当しているのだそう。
EDのどこを切り取っても和柄が本当に美しいのですが、特にひまりの着ている和服や0:30~0:35辺りの和傘などのデザインが個人的にお気に入り。
何度見ても見惚れてしまう芸術的なEDです。
8位 六等星/ざらめ「僕のヒーローアカデミア 第7期」第2クール
作詞・作曲 ざらめ、CHIMERAZ 編曲 CHIMERAZ
絵コンテ・演出 木村延景 作画監督 小田嶋瞳
このEDが使用された第7期第2クールは長く続いたヒロアカのクライマックスとも言える非常にシリアスかつ重要なパート。特に初期から敵として立ち塞がってきた荼毘、トガヒミコ、スピナーとヒーローたちとの熾烈な戦いが繰り広げられました。
彼らは愛する家族や友人、周囲の人々から迫害されヒーロー社会から孤立した結果悪に染まってしまったキャラクター。表社会から弾き出された彼らが自らの存在を世に知らしめ復讐する物語でもあります。
そこでこのタイトル。「六等星」とは肉眼で観測できる星の中で最も暗い星のことなんだそう。明るいところでは見えない暗い星、誰にも気づかれないけれど確かにそこにある存在、そう解釈するとなんとも胸に刺さる名曲。
毎週死闘が繰り広げられた激しい本編とは真逆の静寂に溢れた映像も印象的です。ヒーローもヴィランも一緒に眠りながら水底に沈んでいくような、美しくも切ない映像。
後半にはデクとかっちゃん、轟くんと荼毘、お茶子とトガヒミコなどこの第7期で共闘したりはたまた命をかけて戦った敵同士が背中合わせで次々と映し出される場面もファンとして嬉しい演出。
7位 いつも二人がいいね/ミラ(CV.小野友樹)、白夜(CV.中原麻衣)「かつて魔法少女と悪は敵対していた。」
作詞 斎藤仁久 編曲・作曲 斎藤仁久、小高光太郎
ディレクター 久保雄太郎 作画監督 新井伸浩
まず主人公二人のデュエットキャラソンなのが最高。
原作者の藤原ここあ先生による一つ前の作品「妖狐×僕SS」のアニメではメインキャラによるキャラソンがEDに起用されていたため、それと同じ手法にしてくれたのがまず嬉しい。そして単純にキャラソン好きなので毎週至福でした。
本編ではコメディ要素強めのゆるふわラブコメですが、敵同士でありながら惹かれ合うという切ない関係を切り取ったED。中原麻衣さんと小野友樹さんの美声によるデュエットと、近くにいるのにすれ違って会えない二人を描いたアニメーションも素敵。
長い階段を反対から歩いてきた二人が最後にようやく会えるも、触れ合う距離までは近づかない絶妙な距離感で終わるのも切ないですね。
6位 ユリイカ/ロクデナシ「終末トレインどこへいく?」
作詞・作曲 傘村トータ(LIVE LAB.) 編曲 小松一也
絵コンテ・演出 水島努 作画監督 西田亜沙子
4人の女子中高生が電車旅、可愛らしいキャラデザ、アップテンポな会話劇、そして優しい音楽とコミカルなOP……一見可愛い女の子たちの冒険譚かと思って見始めたところ、このEDが流れた時の衝撃たるや。
先の見えない真っ暗な線路を走り続ける電車と意味深な4人のシルエット、ガツンと来るフレーズばかりの歌詞、ダークでハードなEDに心を鷲掴みにされました。一気にこのアニメに深みが増した瞬間でした。
本作は小学校からの親友である二人の少女――静留と葉香の何気ない口喧嘩が発端となって世界がおかしくなってしまうところから始まります。
主人公の静留は思ったことを深く考えずに発言してしまい、それが原因で友人と揉めることもしばしば。
そんな彼女の不器用さが歌詞で表現されており、「優しい人のなり方を 誰か教えてほしかった」「一緒に歩くの嫌になって でもひとりでいたいわけじゃなくて」など人間関係の難しさとそれでも一人では生きていけない複雑さが伝わってきます。
5位 なに笑ろとんねん/吉乃「来世は他人がいい」
作詞・作曲・編曲 てにをは
絵コンテ・演出 今千秋 作画監督 竹田逸子
主人公と同じ名前の歌手、主人公がいかにも言いそうな大阪弁のタイトル、楽曲とアニメのシンクロ率が異常に高い名作。
ボカロPのてにをはさんが作詞・作曲をしたこの楽曲は特に歌詞が秀逸。
「その綺麗な笑顔剥がしてええかな?」「やいやいと女々しいこと云わんときぃや」など実際に作中で吉乃が言ってそうなフレーズのオンパレード。吉乃が霧島に向けて啖呵を切っている様子が目に浮かぶようです。
映像も魅力的で、大人びたドレス姿の吉乃と、正装に身を包んだ霧島と翔真の3人だけが登場するシンプルな構成ながら美男美女ということもありインパクトは絶大。
吉乃のセクシーショットにもドキッとさせられるちょっと大人向けのEDです。
4位 正解はいらない/ナナヲアカリ「戦隊大失格」
作詞 Neru、ナナヲアカリ 作曲・編曲 Neru
ディレクター・絵コンテ 山口将(Ydot) 作画監督 古閑果歩子
戦闘員たちと大戦隊が踊るだけのシンプルな映像ながら、少しダークな楽曲とクセになるダンスが何とも中毒性の高いEDテーマ。
シンプルなキャラデザ故にフル3DCGでも違和感がないどころか、実際に人間が踊っているのではと思ってしまうほどのリアルさ。
戦闘員たちそれぞれの体格が異なっていたり、動きもそれぞれ微妙に違っていて、細かいところまでこだわっているのが伝わってきます。
戦闘員たちの後ろで踊る大戦隊たちが正義のヒーローなのに悪を操っている、ように見える演出が皮肉っぽくてたまらないですね。
3位 アポリア/ヨルシカ「チ。―地球の運動について―」
作詞・作曲 傘村トータ(LIVE LAB.) 編曲 小松一也
絵コンテ・演出 渡邉こと乃 総作画監督 筱雅律 作画監督 日向正樹
OPテーマの「怪獣」と同様に、こちらの楽曲も宇宙や空を音から感じられる素敵な楽曲です。イントロの跳ねるような音がとにかく心地よい。毎週本編が体感10分くらいに感じられるほど濃密なのですが、このEDが流れ始めると浄化されるような気分になりますね。
そしてOPと同様にこちらも物語の進行と共に映像が変化します。最初はラファウが一人が歩いていたのに対し、4話からはバデーニ、オクジー、ヨレンタの3人に変化。よく見ると足元の白い光が道になっていて、ラファウが歩いた道を3人が広げながら歩いているのが分かります。
他にもラファウとフベルトが星空の下で向かい合うカットから、オクジーが観測しバデーニがそれを記録、そしてヨレンタへと繋がっていく……と映像がほぼ一新されています。今後の展開によってはさらに変化するかも?
歌詞自体は非常に抽象的で聴く者によって様々な解釈ができそうですが、タイトルの「アポリア」は哲学の用語で哲学的な難題や行き詰まることという意味があるんだそう。
2位 忘レナ唄/マカロニえんぴつ「忘却バッテリー」
作詞・作曲 はっとり 編曲 マカロニえんぴつ
絵コンテ・演出・アニメーションコンポジット ユージン
「やぁ、望んだ砂は掴めたかい?」という歌い出しでまず心を抉ってくるこの楽曲。
曲調は明るいのに歌詞の端々からほんのりと切なさが漂っているのがこのアニメの雰囲気にも合っています。
色鉛筆で描いたかのような温かみのあるアニメーションも味わい深く、幼少期の葉流火と圭の姿がなんとも愛らしい。
しかし良く見ると最初のキャッチボールで楽しさに目を輝かせる葉流火に対し返ってきたボールの威力に表情を曇らせる圭、必死で努力するも葉流火に置いていかれる圭など、実はものすごい情報量が込められています。
完全無欠の天才と努力の末に掴み取った智将、それもまた抉ってくる名ED。
1位 鎌倉STYLE/ぼっちぼろまる「逃げ上手の若君」
作詞・作曲・編曲 ぼっちぼろまる
絵コンテ・演出 米森雄紀 作画監督 西谷泰史
本編は時代劇なのに主人公たちが学生服を着て、敵も味方もみんな一緒に鎌倉を満喫するという遊び心に溢れた名ED。本編でも頼重が現代の言葉を多用してメタ発言する場面も多いので、現代のファッションに身を包んでいても違和感ゼロ。
天下を取るために刀を手に殺し合った敵同士が、このEDではお花見で宴を楽しんだり、蹴鞠をしたりととにかく楽しそうなのもいいですね。彼らも平和な世に生まれていれば殺し合わずに済んだかもしれないのに。
鎌倉が修学旅行の定番だからバス移動というのも面白い。
聴いているだけで楽しくなる楽曲ですが、良く聞くと「縄文弥生古墳飛鳥奈良平安からの KA・MA・KU・RA」と日本の元号が時代順に並んでいたり、「いい箱(1185)つくろう? いい国(1192)つくろう?」など日本史の勉強がちょっと楽しくなりそうな歌詞なのが秀逸。
またフルサイズでは
「南北朝から室町へ安土桃山江戸時代 明治大正昭和まで平成からの RE・I・WA 次はどんな未来が待ってる? 俺たちが作り上げていく!」
という歌詞がまた素晴らしい。歴史というのは時行や尊氏のような人々が作り上げ現代まで繋がっているというメッセージに感動。
まとめ
いかがだったでしょうか。
EDテーマはバラードや綺麗めな楽曲が使用されることが多い印象ですが、最後まで楽しくなれる明るい曲や遊び心のあるものもあって、どれも趣向を凝らしたものばかり。
実は「ダンダダン」や「村井の恋」、「甘神さんちの縁結び」など見て聴いて楽しいEDも入れようかとても迷ったのですが、今回は歌詞や映像などちょっと考察しがいのある方向性で選んでみました。どれもこれも素敵で迷っちゃいますね。
それではここまで読んでいただきありがとうございました!
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