「劇場版 ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」とは?
「ハイキュー!!」は週刊少年ジャンプで2012年から2020まで連載されていたバレーボール漫画。2014年からはTVアニメも放送され第4期まで続いた超人気シリーズ。そして今回新たに公開された「ゴミ捨て場の決戦」は第4期の続きとなる作品です。
原作コミックス33巻から始まる春高全国大会3回戦、烏野対音駒によるゴミ捨て場の決戦はファンの間でも特に人気の高い試合。それが映画の中で丸々一試合分アニメ化されています。
監督はTVアニメ1期~3期までと同じ満仲勧さん
4期まであるTVアニメシリーズの中で、実は第4期のみ監督が違います。
1期~3期までの監督は満仲勧さん。2022年に公開された映画「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」で監督を務めています(こちらが忙しくてハイキューの監督を降板したのではと推測)。
第4期では満仲さんの代わりに佐藤雅子さんが監督を務めました。佐藤さんはTVアニメ1期から絵コンテや演出で参加されていました。
ただ第4期は作画がかなり乱れてしまい、ファンから辛口の批評も多く上がりました。特に第3期の白鳥沢戦が素晴らしいクオリティだったために視聴者の期待が高かったのもありますが……。
それでも第4期の中盤からは作画が安定し始め、その中でも第24話「バケモンたちの宴」は衝撃的なまでのハイクオリティな映像を見せてくれました。
と、第4期は中々に作画面で苦労しアニメから離れてしまったファンの方もいたかもしれませんが、そんな人たちにもぜひこの劇場版は見てほしい! 白鳥沢戦や稲荷崎戦終盤の次元を超えた神作画が見られます。
没入感が凄まじい映像へのこだわり
今作で最も衝撃を受けたのはこだわりまくった構図とカメラワークです。
序盤の日常パートからすでに演出が素晴らしいのですが、凄まじかったのは試合終盤。
音駒高校のセッター・孤爪研磨から見えるコートの中の世界をかなりの長尺で描いているのです。画面に映るのはネット越しに向き合う烏野高校の選手たち、烏野のサーブから味方のレシーブ、トス、ブロック、ふっ飛ばされて地面に這いつくばる研磨の姿まで全てが彼の視点で描かれていて、まるで自分もコートの中で選手として試合に参加しているような没入感に襲われました。
また長いラリーの中で選手がどこを見て、一瞬で判断して、息をつく暇もなく動き続けているのか。極限の状態の中でボールを追いかけるその苦しさも伝わってきます。
ちなみにこのシーン、原作では研磨の視点ではなく普通に第3者視点から描かれています。脚本と絵コンテも担当している満仲監督のアイディアだと思いますが、本当に衝撃的でした。
主人公は孤爪研磨
「ハイキュー!!」は烏野高校1年の日向翔陽が主人公の作品です。
しかし今作に限っては完全に主人公は日向のライバルである研磨でした。ただしこれも原作とはだいぶ印象が異なります。
原作は第33巻293話「約束の地」から第37巻325話「ゴミ捨て場の約束」までが音駒戦となります。本来ならTVアニメ1クール分(12話くらい)使ってもおかしくない濃密な内容なのですが、それを85分という短い尺の中にぎゅっと収めているので当然めちゃくちゃカットされています。
客席にいる他チームの選手やモブの会話どころか、メインキャラのセリフや活躍、1プレー丸々カットされている部分もあります。そのため本来ならメインキャラである烏野の主将・澤村大地やエース・東峰旭の活躍も原作よりもかなり控えめになっており、音駒も中心人物である研磨と黒尾鉄朗以外のキャラたちの出番も大幅にカット。
正直、原作ファンにとっては(85分という短さから覚悟はしていたものの)非常に残念な結果になっています。
ただ逆を言えば85分という制約の中で、研磨と黒尾を主軸にすることで見事に破綻することなく1試合分を綺麗にまとめているとも言えます。
もちろんカットされた部分は本当に残念でできることならTVアニメ1クールかけて見たかったというのが本音ではあるのですが、それでも今作は映画としては最高の出来になっていると思います。
少なくとも研磨ファン、黒尾ファンは絶対に見るべき作品です。
梶裕貴さんの演技力に打ちのめされる
研磨役の声優・梶裕貴さんと言えば「進撃の巨人」のエレン・イェーガー役でアニメファンどころかお茶の間でも一躍時の人となった声優界のスター。
「進撃の巨人」では喉を酷使しながら絶叫や憎悪を表現してきた梶さん。そのせいか個人的にも梶さんといえば叫んでるイメージがかなり強いのですが、「ハイキュー!!」ではイメージとは真逆のお芝居を聞くことができます。
常にテンションが低くボソボソと喋る研磨は声を張ることも少なく、叫ぶシーンはほぼありません。ただ、だからこそ限界まで感情を抑え、抑揚がないセリフの中に研磨の秘めた思いや熱量が垣間見えるような、そんな非常に繊細なお芝居を堪能することができます。
原作コミックス36巻に収録されている第322話「おれの勝ち」では、それまでの研磨からは想像もつかないようなセリフを発するシーンがあります。それはこの「ゴミ捨て場の決戦」最大の見せ場でもあり、日向と研磨の関係性の終着点でもある非常に重要なセリフ。
そのたった一言のセリフを、いつかこのシーンがアニメ化されたら梶さんはどんな風に演じるんだろうと初めて原作を読んだ時に胸の高鳴りが抑えられなかったのを今でも良く覚えています。
その答えをようやく聞けて感無量でした。
最高のアニメーションをぜひ劇場で
こだわり抜かれた演出と構図、手描きアニメーションの限界を超える作画、魂を削る豪華声優陣による演技、再始動を果たしたSPYAIRによるハイキューファン感涙の主題歌。どれをとっても大満足のアニメ映画でした。
マジで鑑賞中はカットされたシーンとか気にする余裕もないくらい大興奮の感動に襲われました。ハイキューファンの方は安心して観に行ってほしいです。
応援席の声援や掛け声、拍手などがかなりリアルなので実際に試合会場にいるような臨場感が味わえるのも劇場で鑑賞する醍醐味かなと思います。
あとスパイクを打った時やブロックした時の音がものすごい迫力でこれも非常にリアルでした。
たぶん近年の流行的に見ても応援上映もほぼ確実にあると思いますが、たぶんめちゃくちゃ楽しいだろうなあと思いました。
それと普段エンドロールを最後まで見ずに席を立ってしまう人はお気をつけください。エンドロール後にもまだ重要なエピソードがあります。絶対に館内が明るくなるまで帰らないでください!!
入場者特典について
2月20日現在、入場者特典は第5弾まで実施されることが決定しています。
公開初日から配布されている第1弾は「ハイキュー!!33.5巻」と題された冊子で原作コミックスと比べても半分かソレ以上の厚みがあります。
内容は烏野と音駒の全キャラ(監督やマネージャー、応援団含む)のキャラクター紹介と原作者・古舘春一先生による描き下ろしラクガキがメイン。こちらなんとメインキャラに限っては1キャラにつき1枚描き下ろしがあるという超豪華な内容。古館先生の画力を存分に楽しめます。
こちらは全国200万名様限定とのことなので、入手したい方は早めの鑑賞をオススメします。
第2弾以降の配布スケジュールは公式サイトで確認できます。
ちなみに劇場で販売されているパンフレットはすでに売り切れている劇場がかなり多く入手困難な状況になっています。ただ公式Xアカウントにて増刷決定が発表されているので、万が一転売されていても買わないようにしてください。
公式サイトリンク
関連情報
↓「ゴミ捨て場の決戦」は原作コミックス33巻から
↓1話から読み直したい人は原作1巻から
TVシリーズは以下の動画配信サービスで見放題配信中!
dアニメストア ニコニコ支店 ディズニープラス FOD Netflix アニメ放題
Amazon Prime Video dアニメストア for Prime Video アニメタイムズ※本ページの情報は2024年2月時点のものです。
最新の配信状況は各配信サイトにてご確認ください。
コメント