今年の春も素敵なアニメがたくさん見られましたが、今回はその中から特に印象に残った声優さんをまとめてみました。心に残ったお芝居を基準に、実際に全話見たアニメの中から選ばせていただきました。
川島零士
主な出演作
不滅のあなたへ(フシ、少年)、シャドーハウス(パトリック、リッキー)など
「不滅のあなたへ」でアニメ初主演を果たした川島さん。第1話では集落に一人取り残され仲間が旅立った“楽園“を夢見る少年を演じ、その後はその少年の姿を映しとったフシを演じ続けています。1話ではナレーターの津田健次郎さんを除けば、少年がひたすら一人で喋り続けるというアニメ初主演でものすごいセリフ量を見事にこなしました。さらにオオカミやオニグマ(巨大なクマ)に変身するフシを川島さん自身が全て一人で演じており、なんとオオカミ時の声も加工なしで本人が喋っているとのこと。少年フシの時とは全く違う声を出しているのですが、新人とは思えない声の幅です。
また当初言葉を上手く発せなかった頃のフシの、意味を理解せず音だけを真似て喋るというセリフもカタコト具合がまたとても上手かった。カタコトから次第にイントネーションを正確に覚え始め、そして徐々に感情を覚えていくその過程の表現も本当に素晴らしかったです。
一方の「シャドーハウス」でも、姿が真っ黒の“シャドー“と呼ばれる一族のパトリックと、そのパトリックの“生き人形“である姿形がそっくりのリッキーを一人二役で熱演。姿は似ているけれど、性格も声も微妙に違うというパトリックとリッキーの演じ分けもまた素晴らしかった。
間違いなく今年度の声優アワードで新人賞を受賞するであろう逸材だと思います。
島﨑信長
主な出演作
ましろのおと(澤村雪)、フルーツバスケットThe Final(草摩由希)、幼なじみが絶対に負けないラブコメ(甲斐哲彦)など
ここ数年凄まじい進化を遂げ衝撃的なお芝居を連発している島﨑さん。今年も見事にやってくれました。なんといっても「ましろのおと」で演じた主人公・澤村雪です。青森県の津軽出身というキャラクター故にセリフは全て津軽弁。素人から見てもめちゃくちゃ難しそうな方言ですが、方言+お芝居という難易度の高いことを見事に演じ切りました。
ついに最終回を迎えた「フルーツバスケット The Final」でも草摩由希を最後まで丁寧に演じてくれました。個人的には透役の石見ちゃんと並んで、本当に満足のいく配役でした。旧作の久川綾さん演じる由希くんも良かったですが、やはり男性の演じる由希くんを見られて幸せでした。
石見舞菜香
主な主演作
フルーツバスケット The Final(本田透)、不滅のあなたへ(リーン)など
長く演じてきた「フルーツバスケット」でついに最後まで透君を見事に演じきってくれました。最後の最後まで本当に石見ちゃんが透君で良かったと思わせてくれる素晴らしいお芝居でした。一点の曇りもない透き通った声が本当に透君です。
「不滅のあなたへ」で演じたリーンも、当初はおしゃまでわがままな女の子でしたが、話が進むごとにどんどん美しく心優しい女性になっていく過程が素晴らしかった。一見細く気弱に聞こえがちな声ですが、芯がしっかりあって裏表のない役がぴったりハマりますね。浄化される声です。
久野美咲
主な出演作
ゴジラS.P<シンギュラポイント>(ペロ2)など
出演作は少ないものの「ゴジラSP」では圧倒的な存在感を放った久野さん。演じたのは人工知能のペロ2。可愛らしいデフォルメされた犬の見た目をしており、人工知能でありながら非常に感情表現豊かという本作のマスコットキャラとも言える重要な役どころ。セリフ量もかなり多く、後述する釘宮さん演じる「ユング」とともに、様々な雰囲気の声を使い分け膨大なセリフを完璧な滑舌で演じてくれました。間違いなく久野さんと釘宮さんでなければ成り立たなかったキャラクターであったと思います。
釘宮理恵
主な出演作
ゴジラS.P<シンギュラポイント>(ユング・ジェットジャガー)、EDENS ZERO(ハッピー)、シャドーハウス(バーバラ、バービー)、フルーツバスケット The Final(草摩楽羅)など
出演作の多かった春クール。特にインパクトがあったのがやはり「ゴジラSP」のユング(ジェットジャガー)。上述した久野さん演じるペロ2と同じく人工知能のユング。しかしペロ2とは違い感情の起伏がなくロボット感の強いキャラクターで、超長い文字の羅列やチャットの文章を早口で完璧な滑舌で読み上げるシーンは鳥肌が立ちました。
さらに物語の終盤では徐々に感情が生まれていく過程や、幼い口調になったりととにかくお芝居の幅が広い天才的な演技でした。
さらに「シャドーハウス」では全身が真っ黒で顔のない一族“シャドー“のバーバラと、姿形がそっくりの“生き人形“バービーの一人二役を演じました。口が悪くとにかく物言いのキツイバービーに対し、バーバラは内容こそキツイものの声はお淑やかで口調も丁寧という見事な演じ分けでした。
石川界人
主な主演作
バクテン‼︎(美里良夜)、蜘蛛ですが、なにか?(ユーゴー・バン・レングザンド、夏目健吾)など
春アニメの中でも評価の高かった「バクテン!!」。その中で石川さんが演じたのが準主人公と言える美里良夜。主人公・翔太郎と同じ一年生でありながら、幼い頃から新体操を始め中学ではジュニア大会準優勝の実力を持つ優秀な選手。常にクールで落ち着いた態度を崩すことはあまりない無表情系男子。他の部員が寮生活を送る中、美里だけは当初自宅から通うなど他人と距離を置いていましたが、次第に変化が表れていきます。
石川さんと言えば声自体が太く非常に迫力のあるお芝居が特徴ですが、この作品ではその迫力は封印。どちらかといえば声は細くとにかく感情の起伏を感じさせません。石川さんのクセがかなり抑えられており、とにかく美里というキャラにハマっていました。
物語の中盤では翔太郎や先輩らに対して一気に心を開き、そこから明らかにお芝居が変化したのがとても印象的で感動しました。ものすごく繊細なお芝居で、流石の一言でした。
日笠陽子
主な出演作
SHAMAN KING(麻倉葉)、シャドーハウス(ドロシー)、憂国のモリアーティ(アイリーン・アドラー、ジェームズ・ボンド)、Vivy-Fluorite Eye’s Song-(エステラ)など
春クールは特に出演の多かった日笠さん。話題を呼んだのはやはりリメイク版「SHAMAN KING」の主人公・麻倉葉。ほぼ全てのキャストが続投という中、新たな葉を作り上げるのは凄まじい重圧だったと思いますが、旧作の佐藤ゆうこさんとはまた違うアプローチで個人的には日笠さんの葉も十分アリ。長期の放送でどんなふうに進化していくのかも楽しみです。
もう一つ素晴らしかったのが「憂国のモリアーティ」で演じたアイリーン・アドラー。ホームズに唯一勝った美女として登場しますが、その後は紆余曲折あってなんと男性として生きることに。新たにジェームズ・ボンドとして登場した際の、女性の時とは全く違うお芝居に度肝を抜かれました。
林勇
主な出演作
東京リベンジャーズ(佐野万次郎)、ましろのおと(健)など
話題作「東京リベンジャーズ」の超重要キャラであるマイキーこと佐野万次郎を演じた林勇さん。林さんと言えば「ハイキュー!!」の田中龍之介のイメージが強いので、一体どんな声を当ててくるのかさっぱり予想がつかなかったものの、一言目で心臓を撃ち抜かれました。中学生で暴走族の総長、普段はマイペースで子どもみたいに無邪気、だけど喧嘩は強くキレたらとにかく怖い。これだけの複雑な役柄を見事に演じており、なにより穏やかな時の声がハンパなくかっこいい。ものすごく失礼ながら、林さんってこんなに甘い声だったのか……と打ちのめされました。
原作も人気漫画ということで今後もアニメ化されていくと思いますが、現在と過去を(主人公が)行き来する物語でもあるので、果たして大人になったマイキーを林さんがどのように演じるのかも非常に楽しみです。
畠中祐
主な出演作
MARS RED(栗栖秀太郎)、ましろのおと(田沼総一)、など
春クールでは「MARS RED」で主演を務めた他、「ましろのおと」では津軽弁の三味線奏者・田沼総一を好演。方言キャラは珍しい畠中さんですが、見事に演じてくれました。さらに熱血・泥臭いお芝居が多かった畠中さんにしては珍しく、田沼はマイペースで天才型といういつもと真逆のキャラだったのも印象的。個人的にはこういう畠中さんもめちゃくちゃかっこいいなとトキメキました。
高垣彩陽
主な出演作
MARS RED(中島岬)など
春クールでは出演作も少なく、「MARS RED」の中でも登場回数は多くはなかった高垣さんですが、1話の演技には度肝を抜かれました。演じた中島岬は舞台女優であったものの、不慮の事故によりヴァンパイアとなってしまった女性。ヴァンパイアになってしまった後も舞台で演じていたサロメになりきりひとり演じ続けるという悲しい役どころ。
手紙だけのやり取りだった婚約者に会うことをずっと楽しみにしていた彼女が、ヴァンパイアになった後でついにその人物と会えた時も、彼女はサロメのセリフしか言えず、しかしそのお芝居の変化に鳥肌が立ちました。もともとお芝居の上手い高垣さんの、ものすごい繊細なセリフの数々に、登場回数は少ないものの圧倒されっぱなしでした。
まとめ
以上、今回は10名の方を選ばせていただきました。いよいよ夏アニメも始まり、また素敵なお芝居が聞けると嬉しいなあとわくわくしながら見ております。今年度の声優アワードで誰が受賞するのか予想しながら見るのも面白いですね!











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