【アニメ感想】スキップとローファー第12話（終）「キラキラ」【アニメ感想】スキップとローファー第12話（終）「キラキラ」 |

【アニメ感想】スキップとローファー第12話（終）「キラキラ」

アニメ

2023.06.21

12話のあらすじ

1年3組に志摩の母を案内する途中、梨々華とクリスに遭遇してしまったみつみ。梨々華は志摩の母に「また自分のために演じさせるの」とキツイ言葉を投げかける。
その後教室で志摩と合流するも、母と弟は帰ってしまいクラスメイトたちに子役時代のことを知られ、どこか居心地が悪そうな志摩の姿にみつみは……。

12話の感想

文化祭、最終日、クラス演劇最後の公演。
その直前に現れた志摩くんの母、そして梨々華とクリス。
志摩母を見た瞬間から不機嫌MAXの梨々華は「また自分のために聡介に演じさせるの？」とキッツイ一言。梨々華にはそう見えていたんですね。実際、志摩くんも「お母さんが喜ぶから」という理由だけで子役をやっていたようですし。親子間のぎこちなさはこの辺りも深く関係していそう。
でもこの梨々華の一言で、どんなにワガママや酷いことを言ってもこの子は志摩くんのこと大好きなんだなと伝わってきてぐっときました。
けれどやっぱりクセ者なのは間違いなくて……、梨々華の言葉で志摩母は「用事がある」と言って慧理くんを連れて帰ってしまったし、中学時代のクラスメイトが遊びに来たこともあって1年3組の仲間たちにも、志摩くんが子役をしていたことが知られてしまいました。
そんな梨々華の言動から、志摩くんの嫌がるをしていると感じ取ったみつみ。気づけば2人の間に滑り込んで、まさかの謎ポーズ。

出典：TVアニメ『スキップとローファー』公式（@skip_and_loafer）より

深刻なムードだったのに、その謎ポーズを見た志摩くんは思わず吹き出して笑顔に。
実はみつみたちが教室に来る前、慧理くんに生物部の作った動物の本を読み聞かせてあげていた志摩くん。その中に、コアリクイの威嚇ポーズが乗っており、みつみが取ったポーズがまさにそれにそっくり。知らず知らずのうちに志摩くんを笑顔にしてしまうみつみ、最強です。

クラス演劇最後の公演をこなしながら、自分の気持ちを見つめ直す志摩くん。
周りから何を求められているのかはすぐわかるのに、自分のやりたいことは分からない。好きな食べ物さえぱっと浮かばない。自分のために生きるってなに？
そんな自問自答の中で、思い出したのは兼近先輩の演劇。公演後、兼近先輩に声をかけられなかった理由が「嫉妬」だったと気づいてしまった時、志摩くんの中で何かが少しずつ変わり始めていきます。

そして公演後、さっさと帰ってしまった梨々華を追いかけて引き留めた志摩くんは、ずっと言えなかった本音をまっすぐな言葉で伝えました。
梨々華が前向きに何かをやるなら何でも手伝うから、償いたいと。「学校が、楽しいんだ」と。
しかしそれを聞いた梨々華は怒って立ち去ってしまうも……。
帰りの車の中ではまさかの大号泣。志摩くんに飲酒の場に誘われたという話でしたが、実は志摩くんには止められていたのに彼女自身がついていってしまったそう。それでもずっと負い目を感じている志摩くん。それ以来ずっと2人の関係は複雑になってしまったけれど、高校でみつみたちと仲良くしている姿にまた嫉妬していたことも初めて口にしました。

このシーン、何が凄いって梨々華役の寿美菜子さんの泣き演技が凄い。泣き演技ってわざとらしくなってしまうことも多いんですが、この時の寿さんはマジで泣きながら収録したのかなっていうくらいリアル。ちょっとセリフが聞き取りづらいくらいの大号泣を見事に表現してて鳥肌でした。思わずもらい泣きしてしまうほどに。
そして梨々華にずーっと寄り添ってるクリスがもう本当にいいヤツ。どんな梨々華に怒鳴られても、ワガママを言われても、ただそれに従うのでも怯えるのでもなく、文句を言いながらも決して見捨てない。志摩くんがクリスに心を開いているのが納得のいい男。

文化祭が終わっていく寂しさと、このアニメが終わっていく寂しさを重ね合わせていた雰囲気も素敵でした。
文化祭運営の生徒や風上生徒会長のあいさつも、まるでアニメの制作スタッフ全員に向けたお疲れ様の言葉のようにも聞こえてまたぐっときます。文化祭は終わってしまうけれど、日常はまだ明日から続いていくように、アニメは終わってしまうけれどみつみたちの生活はまだまだ続いていく。寂しいけれど、満足感も残る最高の最終回。

みつみを中心に始まった物語は、終盤に近付くにつれて志摩くんの物語へと変わっていきました。
初めて出会った日、「たかが入学式」と言っていたあの志摩くんがみつみとの出会いや文化祭での演劇を経て「学校楽しいんだ」と思えるようになったこと。
何か劇的な出来事があったわけでも、大事件があったわけでもないのに、確実に1話ごとに変化していくキャラクターたちの心情が丁寧に描かれたからこそ、納得の最終回。
ぜひともまた、みつみたちにアニメで会いたい！