「ネガポジアングラー」とは?
原作のないオリジナルアニメ。
監督:上村泰
シリーズ構成:鈴木智尋
キャラクターデザイン:谷口宏美
アニメーション制作:NUT
佐々木常宏:岩中睦樹
鮎川ハナ:ファイルーズあい
躑躅森貴明:石川界人
第1話のあらすじ
人生失敗続きで何もかも上手くいかない大学生・常宏。余命2年を宣告され、おまけに借金まみれで取り立て屋に追われるうちに川へ転落してしまう。死を覚悟した常宏だったが、目を覚ますとそこは海の上だった。
たまたま船で通りかかった少女ハナやその釣り仲間の貴明らに助けられた常宏は勧められるままに釣りをすることになって……。
第1話の感想
・人生からも橋からも転落したどん底の大学生
主人公は大学生の青年・常宏。散らかった小さなアパートの一室で一人暮らし、趣味はパチンコ、借金まみれでおまけに余命2年を宣告されるという絵に描いたようなどん底人生。
借金取りに追われ逃げ出すも「どうせあと2年で死ぬんだから使い放題じゃね?」と自暴自棄になってしまいます。追い詰められて川に転落した時も「このまま異世界に転生しないかな……」なんていかにも現代的な諦めの言葉。
ところがたまたま通りかかった船の人々に助けられ、目を覚ますと海の中にぽつんと建てられた堤防の上。助けてくれたのは年齢も性別もバラバラの釣り仲間たちでした。
・初めての釣り
釣り人の女の子ハナの機転で借金取りから逃れられた常宏は、彼女に勧められるがままに釣りをすることに。最初は嫌々始めるも、釣り竿の振り方や遠くへルアーを飛ばすコツなど教わるとすぐに上達し、何が楽しいのか分からないと言いつつもちょっと嬉しそう。
おまけにビギナーズラックなのかサバが釣れると、みんなに褒められて驚きながらもどことなくまんざらでもない表情。
パッと見はオモチャみたいなルアーでも魚に取っては餌も同然、そのことに気づいた常宏は逃げる小魚(ルアー)の気持ちになって「生きたい、だから逃げる」と複雑な動きでルアーを動かし始めます。
生きることに後ろ向きで、あと2年我慢すればこのクソみたいな世界から逃れられると自暴自棄になっていた常宏が釣りを通して“生きるために逃げる”と前向きになってく未来を示唆させる演出にわくわくさせられました。
・ギャップのある演出が面白い
閉塞感漂う常宏の部屋や病院、町の風景などは写実的でリアル。常宏と借金取り3人の追いかけっこもコミカルさはあるものの重力を感じられる動きでリアリティを表現しています。
その一方で、川に落ちた時の水中や水流の描写はどこかファンタジックで常宏の言葉通り、このまま異世界に転生してしまうんじゃないかくらい非現実的。
またキャラクターデザインも何名かものすごいデフォルメされていたり(ずっとデフォルメされているのが面白い)コミカルなシーンでは絵柄を崩したりと、現実的な部分と超アニメチックな部分のギャップが面白かったですね。
・釣り関連はほぼ全てCG
印象的だったのは釣りのシーン。釣り竿から釣り糸、リール、ルアー、そして魚に至るまで全てがCG。かなりクオリティが高く、それでいて作画との相性もしっかり調節されているので絵的に浮いていないのが素晴らしい。
作画面も非常に安定していてハイレベル。釣り竿を振りかぶって放つまでの一連の動きも丁寧で、迫力もあって感動しました。
・暗くなりすぎないエブリマートの面々が好印象
常宏を助けてくれた釣り人たち、実はエブリマートというコンビニで働くバイト仲間ということがラストに明かされました。このエブリマートの人々がとてもいい。
ちょっと強気だけど明るく人の良いハナや、底抜けに陽気で世話焼きな貴明など、人生も性格もどん底な常宏と対象的。特に石川界人さん演じる貴明の、一見チャラいのかと思いきやめちゃくちゃ面倒見良くてゆるい雰囲気が親しみやすさもあるキャラ設定が最高。推せる。
のんびりと釣りを楽しむ彼らの前向きさが常宏にいい影響を与えてくれるのではないかと今後にも期待です。
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