【新アニメレビュー】現役医師が紡ぐ本格医療ミステリ「天久鷹央の推理カルテ第1話Dr.Sherlock、第2話青い血と竜の牙」

アニメ

2025.01.032025.01.05

「天久鷹央の推理カルテ」とは？

出典：天久鷹央の推理カルテ公式｜TVアニメ好評放送中!（@Ameku_off）より

原作は連作医療ミステリ小説。
原作者は知念実希人さん。

監督：いわたかずや
シリーズ構成：杉澤悟
キャラクターデザイン：高品有桂
アニメーション制作：project No.9

天久鷹央：佐倉綾音
小鳥遊優：小野賢章
鴻ノ池舞：石見舞菜香
天久真鶴：水樹奈々
天久大鷲：立木文彦

第1話のあらすじ

天医会総合病院の副院長にして統括診断部部長の天久鷹央あめくたかおは患者の症状を見ただけであっという間に診断を下してしまう天才医師。しかし見た目も性格も少々子どもっぽく部下の小鳥遊たかなし優はいつも振り回されてばかり。
そんなある日、二人のもとに片足を何か大きな獣に食いちぎられたような患者が運び込まれてくるが、その血はなぜか真っ青で……。

第1話の感想

・原作者は現役の医師
まず驚きなのが原作小説を執筆した作家・知念実希人さんが現役の医師であること。そのため作中に登場する症状や院内の様子もリアル。
統括診断部という部署は本作独自の名称のようですが、実際に似たような業務の部署も存在するんだそう。
現役医師だからこその専門的な医学の知識と、本格的なミステリを同時に楽しむことができました。

・天才女医探偵×振り回され系助手のバディもの
主人公は天医会総合病院の副院長にして統括診断部部長の天久鷹央。女子高生のような幼い見た目ながら、幅広い知識と高い知能を併せ持つ天才医師。
「診断困難」とされた患者の症状を見てあっという間に診断を下してしまう一方で、誰に対しても強気で傍若無人な態度を取ったりちょっとわがまま気質。見た目も中身も子どもっぽいですが本人はそう言われるとキレてしまうところがまた子どもっぽいキャラクター。
不可解な死を遂げた遺体を前に「面白い」と目を輝かせて笑う姿は医師として完全に倫理観が欠如していますが、これはもう探偵モノの宿命ですね……。

・幅広い医学知識
第1話では原因不明の症状に苦しむ子どもと激痛を訴える初老の男性が患者として登場。
他の病院で検査をしても原因が特定できなかったという子どもの症状を見て、鷹央はあっという間にビタミンAの過剰摂取が原因だと突き止めます。視力が低下した我が子を心配した親が目に良いとされるブルーベリーやサプリなどを与えた過ぎた結果、複数の症状が出てしまったんだとか。
一方の初老の男性は自分で釣ったイワシを刺し身で食べアニサキス症になったと診断。
どちらも最初は原因不明の症状だったものの、蓋を開けてみれば誰でも起こり得るもので、特にビタミンの過剰摂取は目から鱗でした。これは気をつけたい……。

第2話で鷹央が解決した青い血の男事件はかなり本格的な推理ミステリーとなっており、鷹央が名探偵ぶりを発揮。こちらも専門的な医学用語がバンバン登場し素人にはちんぷんかんぷんながら、「青い血」という現実にはあり得なさそうな不可解な現象が医学的に解明されるのが驚きで面白かったです。

・豪華な声優陣
そんな鷹央を演じるのは佐倉綾音さん。驚くほどのハマり役で、いい意味であやねるが声を当てているのを忘れてしまうほど。低すぎず高すぎず、可愛いけど可愛すぎない絶妙な声音も素晴らしい。
鷹央の助手的な立ち位置でお人好しの内科医・小鳥遊役は小野賢章さん、明るく物怖じしない研修医の鴻ノ池舞役は石見舞菜香さん。
鷹央の叔父で総合病院の理事長は立木文彦さん、事務長で鷹央が唯一頭の上がらない姉・真鶴は水樹奈々さんがそれぞれ演じています。
また鷹央たちと顔見知りの成瀬刑事を諏訪部順一さん、警視庁捜査一課の桜井警部補を平田広明さんが演じるなどかなり豪華な顔ぶれ。
今後登場する患者や犯人役のゲスト声優にも期待。

・アニメでは少し珍しい医療ミステリに期待
第1話・2話を見て正直なんで実写ドラマ化しなかったんだろうと思うくらい実写向きな内容でしたが、アニメ好きとしては嬉しくもあります。この1話・2話は原作の知念先生がアニメのために書き下ろしてくれた内容らしく、3話以降の原作準拠になるであろう事件も楽しみです。
鷹央のキャラデザも可愛らしく（性格的には好み分かれそうだけど）作画さえ崩れなければ今期の人気作になりそう。

Aimerさんが歌うOPテーマ「SCOPE」も名作。「チェンソーマン」の監督も務めた中山竜さんがOPテーマの監督・プロデューサー、中山さんが代表の株式会社Andraftが制作。
写実的な映像と柔らかい色味や雰囲気がとても美しくて目を引かれました。