タコピーの原罪
あらすじ
地球にハッピーを広めるためやってきたタコ型地球外生命体ハッピー星人。
小学四年生の久世しずかに助けられ「タコピー」と命名されると、そのお礼に彼女の力になろうと様々なハッピー道具を紹介する。
しかし同級生の雲母坂まりなにいじめを受けるしずかは中々笑顔を見せてくれない。
お母さんは仕事、お父さんはいないというしずかにとって唯一の心の支えは飼い犬のチャッピーだけだった。
そんなある日、「友達と喧嘩」したと言うしずかに、タコピーはハッピー道具「仲直りリボン」を貸すがそれ以来しずかは姿を見せなくなってしまう。
「悪夢版ドラえもん」
ゆるすぎる見た目のタコピーに反して、本作はとにかく陰鬱なストーリー。宇宙人が不思議な道具を使って少女の悩みを解決していく、という設定から「悪夢版ドラえもん」と評されることも。
しかしドラえもんと違って、タコピーの思惑とは裏腹に事態は悪い方へと転がっていきます。
第1話でも容赦ないいじめ描写に家庭崩壊、さらには自殺とショッキングな場面が続出。しかしこれはまだまだまだ序の口。ここからさらに物語は残酷で絶望的な展開になっていきます。
原作未読の方はどうか心を強く持って最後までタコピーとしずかちゃんの行く末を見守ってほしい……。

アニメーション演出
1話を見てまず驚いたのは原作絵がそのまま動いているかのような作画。原作がかなり独特な絵柄ながらそれを見事に再現してアニメーションに落としてこんでいることに驚かされました。
荒々しくも繊細で複雑な感情が伝わってくる表情の再現度も素晴らしい。
あえて絵を崩してタコピーの躍動感やタコっぽさを表しているのもアニメならでは。
暴行を受けて全身傷だらけのしずかちゃんも、原作通り大量の描き込みでその悲惨さが痛いほど伝わってきます。
第1話で最も衝撃的なあのシーンの描き込みもエグい……。
ただ一方で全体的に原作よりは陰鬱さがマイルドな印象を受けました。そう感じた要因はふたつ。
ひとつは音楽の力。時に切なく、時に明るく、物語を彩る劇伴は作品にしっかり寄り添いながらも決して暗くなりすぎないように配慮されているように感じました。
もうひとつは声優さんの演技力。タコピー役の間宮くるみさんは数々のアニメでマスコットキャラクターを演じてきたベテラン声優ということもあって、とにかくタコピーの声が可愛い。
タコピーが本当に純粋無垢で、ただただしずかちゃんを笑顔にしたいという優しさが声からひしひしと伝わってきます。
原作ではもっとタコピーの無神経さが際立っているように感じたのですが、アニメのタコピーからは悪気は一切なく心からしずかちゃんをハッピーにしたいという優しさが感じられました。(原作でも悪気は一切ないのですが……)
改めてアニメーションの持つ力に気付かされたような気がします。
配信限定の理由
近年は配信限定のアニメも増えてきていますが、大体の場合はサービスの利用者を増やすために独占配信であることがほとんど。
しかし本作は数多くの動画配信サービスで同時に配信開始されているにも関わらず、TVでの放送はありません。
その一番の理由はおそらく、ショッキングな場面が多いからではないでしょうか。グロ要素や残酷描写こそないものの、前述したように生々しいいじめの描写から始まり、劣悪な家庭環境、児童虐待、子どもの自殺、さらに今後はそれ以上の展開も待ち受けておりとにかく陰鬱。
原作通りアニメ化するにはTVでの放送は規制が厳しすぎたのかもしれません。TV放送よりは子どもやアニメ好きではない人がうっかり目にしてしまう可能性も減るでしょうし。
主な見放題配信
※本ページの情報は2025年6月時点のものです。
最新の配信状況は各配信サイトにてご確認ください。






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