光が死んだ夏

あらすじ
閉塞感漂う田舎の集落クビタチ村で幼馴染として過ごしてきた高校生のよしきと光。
ある夏、山の中で行方不明になった光はその一週間後ふらりと戻って来る。しかしそれから半年後、よしきは光が別の“ナニカ”にすり替わってしまったことに気づき始めていた。
姿形は同じでも中身が別物のヒカルに戸惑いながらも、そばにいてくれるならとその秘密を誰にも明かさないと約束したよしきだったが……。
雰囲気抜群の和風ホラー
(一昔前の)日本の夏の解像度が非常に高く、写実的な背景美術にまず目を奪われました。演出や演技含め全体的に生っぽさがあり、日本のどこかに今もこんな風景があるのだと思わせられるだけの説得力がすごい。
空の青さだったり、雲の高さだったり、うるさいくらいの蝉や蛙の鳴き声だったり。日本人のDNAに刻まれた原風景を感じました。
映像がリアルだからこそ、光の姿をした“ナニカ”の異質感や身近にある恐怖の演出がより際立っていて、和風ホラーとしての雰囲気が抜群に良かったです。
光ではない“ナニカ”
主人公よしきの幼馴染で山で行方不明になったという光。しかし一週間後にふらりと帰ってきた時にはもう別の“ナニカ”になっていました。
このヒカル(=ナニカ)はこれまでの光の記憶や性格をほぼ全て持っているようでよしき以外の誰も成り代わったことには気づかないほどそっくり。
他のみんなが退屈に思う映画を見て号泣したりとかなり純粋な性格のようで、よしき含め周囲の人間に危害を加える様子はありません。
しかし「殺したくないから誰にも言わないでほしい」と脅迫めいたことを言ったり、第1話のラストではガチホラーが本気出してきたりと、正体がはっきりとしないからこその気味悪さが滲み出ています。

生っぽいお芝居
映像演出と同じくらい素晴らしいのが声優陣の演技。特に主演の小林千晃さんと梅田修一朗さんの若手二人が印象的。
本作の舞台は三重県だそうで登場するほぼ全ての人物も三重弁を使用。関西弁とはまたちょっと違ったニュアンスだそうで、声優陣は皆この三重弁でのお芝居に苦労されているようです。
関東圏の人間からすると作中での三重弁がどの程度ネイティブなのかは分かりませんが、慣れない方言を使いながらの主演二人のお芝居が素晴らしかった。
全体的にアニメチックな演技よりもリアル感のある生っぽいお芝居をされていて、何気ないセリフが本当に日常会話のような自然さで驚かされました。
梅田さんに関してはこれまでのイメージからガラッと変わったかなり意外性のある役どころ。等身大の男子高校生感がすごい。無邪気さの中にも得体の知れなさが垣間見えるのもたまりません。
因習村ホラー
ヒカルを見て慄く村人のお婆さん、何かを調査する怪しい男、クビタチ村でかつて起こったらしい事件、村で発生した死亡事件……と第1話から因習村っぽいホラー展開。
村人が土着神っぽい名前を口にしていたのもあって雰囲気的には「ひぐらしのなく頃に」を彷彿とさせますが、たぶんあそこまでグロホラーではなさそう(であってほしい……)。
1話の時点ではそこまで怖くないものの、ラストの辺りは夜に見るのはちょっと怖い感じだったのでホラー耐性が全くない人は視聴注意かもしれません。
ただよしきとヒカルのブロマンス(not BL)だったり、超美麗な作画だったりと見どころは非常に多いのでホラー苦手な方でも見てみる価値アリ。

主な見放題配信
※本ページの情報は2025年7月時点のものです。
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