【アニメ感想】機動戦士ガンダム水星の魔女 Season2 第15話「父と子と」

アニメ

2023.04.23

15話のあらすじ

ベネリットグループの駐留部隊から追われアジトからの撤退を余儀なくされるフォルドの夜明け。そのアジトにはオルコット（CV.三上哲）によって捕虜となったグエルくんが囚われていた。深い絶望の中に沈み込むグエルに、プラント・クエタ事件で命を落とした父の帰りを待つ少女・シーシア（CV.川井田夏海）は憎しみをぶつけるが……。

15話の感想

アスティカシア学園が舞台だった前回までからは一転、第15話は地上のフォルドの夜明けがメインに描かれました。これまでずっとテロ組織として描かれてきたフォルドの夜明けですが、この第15話を見ることによってかなり見方が変わりましたね。
今回も注目ポイントがたくさんあったので一つずつ確認していこうと思います。

・グエルくん、捕虜になっていた
なんと言っても一番の衝撃は捕虜になっていたグエルくんです。プラント・クエタ事件以降、消息不明だったグエルくんの現在は視聴者の誰もが気がかりだったポイント。それがようやく判明したものの、事故だったとはいえ実の父を殺してしまったことで深い絶望に囚われるグエルくんの姿が見ていて痛々しかった……。

・いきなり重要キャラになったオルコット
プラント・クエタ事件の頃から登場していたものの、フォルドの夜明けの一員としてしか描かれていなかったオルコット。しかし今回、独断でグエルくんを捕虜としていたこと、無理やりとは言えご飯を食べさせグエルくんを生かそうとしたこと、ベネリットグループに追われる中でも見捨てず連れて行こうとしたことなど、その人柄が垣間見えるシーンが多く描かれました。
ちなみにエンドクレジットではなんと、一番目がグエルくん、二番目がオルコットという驚きの昇格。ヒロインのミオリネより上とは。

・「父と子と」に込められた深い理由
第15話のサブタイトル「父と子と」ですがこれが実に深いタイトルでした。
この第15話には様々な父と子の姿が描かれています。ヴィムとグエル、デリングとミオリネ、オルコットと亡くなった息子、戦士した父とシーシア。共通しているのはどの親子も片方が死亡、もしくは意識不明の重体ということ、そして戦争によって引き裂かれてしまったこと。この1話でこれだけの親子関係を描く脚本凄すぎる。

・シャディクの本音が垣間見えた
ここまでずっと暗躍しもはやラスボスなのではというくらい罪を重ねてきたシャディク。しかしサリウスとの会話から、シャディクがアーシアンとのハーフであること、そして戦争シェアリングを終わらせようとしていることが語られました。戦争シェアリングが何なのかはっきりとは分かりませんが、スペーシアンに力（兵器など）が偏っている今、アーシアンにも戦う力を与えるべきという考えの様子。
これまでの言動からも悪役には見えなかったんですが、やはり彼には彼なりの正義があったようですね。それにしたってやり方がサイコパスだけど……。

・戦争シェアリングとは
はっきりとは描かれていないものの、おそらくビジネス化している戦争のこと、なのでしょうか。企業が戦争を請け負い代理戦争を行うことによって企業が利益を得る。そしてその利益でまた兵器や宇宙開発が進む……というのが戦争シェアリング？
現状は代理戦争の場が地上で、アーシアンだけが割を食うことになっているけれど、シャディクはその構造自体を壊そうとしているようです。深い……。

・もう一人の主人公グエル・ジェターク
かつては学園トップのホルダー、そこから一気に転落して学園を抜けて偽名を使い、実の父を誤って殺してしまい、最終的にはテロ組織の捕虜という今のところ作中最も不憫な扱いを受けているグエルくん。
しかし絶望の底にあっても、自分を殺そうとした少女を助けようとしたり、ジェターク社存続の危機を知って宇宙に戻ろうとしたり、逆境から立ち上がろうとする姿はまさに主人公。スレッタが色々と不気味な分、よりグエルくんの姿が輝いて見えますね。このままいくと彼がラウダくんとジェターク社を救うことになるんでしょうか。アーシアンとの繋がりもできて、希望の架け橋的存在にもなりそうな気がしますね。

・またしても株が上がったダブスタクソ親父
初期の頃は毒親の筆頭として語られていたダブスタクソ親父ことデリングパパでしたが、実は一番まともな親なのではと評価が一転して以降着々と株を上げ続けています。
今回も政略結婚だと思っていたらデリングパパがノートレット（ミオリネ母）を選んだこと、ミオリネを守るために花嫁計画を立てていたことなどが明かされました。口下手だっただけで、プロスペラの親としての差がどんどん開いていく……。切実に助かってほしいですね。