【アニメ感想】ヴィンランド・サガ SEASON2 第16話「#16 大義」

アニメ

2023.04.25

16話のあらすじ

ガルザルが逃走したことを知りアルネイズのもとへ駆けつけたトルフィンとエイナル。そこにはいつも通りに過ごすアルネイズと、彼女を見張る蛇の姿があった。2人はアルネイズがガルザルを逃がし、負傷した彼をスヴェルケルの協力のもと密かに匿っていることを知る。彼女の悲痛な思いを聞きエイナルは夫婦揃って農場から逃がすことを決意するが……。

16話の感想

客人たちを殺しアルネイズと共に逃走したガルザル。てっきり2人でどこかに身を隠したのかと思いきや、トルフィンたちが駆け付けるとそこにはいつも通りに仕事をこなすアルネイズの姿が。
実は重傷を負ったガルザルと共に逃げてきた彼女を大旦那様ことスヴェルケルさんが匿っていたそう。スヴェルケルさんが寝ているベッドの下には大怪我を負い意識を失ったガルザルの姿が。
そうとは知らずに小屋の中でアルネイズを囮にガルザルをおびき出そうとする蛇。まさに灯台下暗し。

大旦那様は最初からトルフィンやエイナルら奴隷に対しても好意的に接してくれていましたが、まさかガルザルまで匿ってくれるとは。
蛇との会話の中で「奴隷は運がなかっただけ。運がなければ自分たちも奴隷になっていた可能性がある」というセリフは非常に深かったですね。彼のような考え方の人間がこの時代に果たしてどのくらいいたのか。
蛇の剣を見てスヴェルケルさんがこの辺りの物ではないと言っていましたが、これについて原作者の幸村誠先生がTwitterで「中東で作られたシャムシールと呼ばれる刀」と説明していました。日本刀と同じく片側にしか刃がなく、またかなり曲がっているのが特徴的ですね。
そうすると蛇は中東の方の出身？蛇がどうして農場に来たのか、半生がめちゃくちゃ気になる……。あの洞察力といい戦闘力といい、トルフィンと同じく相当な修羅場をくぐってそう。

一方アルネイズさんから事情を聞いたトルフィンとエイナルは彼女をガルザルと共に農場から逃がす手助けをすることに。
この時のアルネイズ役の佐古真弓さんのお芝居が本当に素晴らしくて鳥肌立ちました。佐古さんはアニメのお仕事は実はかなり少なく、ほとんどが吹き替えのお仕事。そのためかやはりアニメチックなお芝居とは全く違うんですよね。アニメでは中々聞けないお芝居だったかもしれません。とにかくリアリティと生々しさが凄い。声のお芝居においてセリフの聞き取りやすさは一つ重要なポイントですが、臨場感を出すには時には聞き取れないくらい崩れている方が良いこともあって、佐古さんのお芝居はその絶妙なところを表現されていました。洋画のような雰囲気のヴィンサガだからこそぴったりハマってますね。

さてガルザルを逃がすためにトルフィンとエイナルが立てた作戦は、エイナルがガルザルのフリをして蛇と2人の客人を小屋から引き離す。そしてその間にトルフィンがガルザルとアルネイズさんを馬車に乗せて国境まで連れていく。というシンプルなもの。
この作戦に蛇たちはまんまと引っかかって偽ガルザルを追いかけたものの、さすがはキレ者の蛇。途中で異変に気付いて1人で小屋に引き返し、そこでガルザルを荷台に乗せていたトルフィンと鉢合わせ……。

ここの緊張感も凄まじかった。
何よりも、トルフィン。二度と人は殺さないと誓った中で、剣を向けてくる蛇に対して戦うか否かの選択を迫られます。そこへ現れたアシェラッドの幻影。トルフィンにも、蛇にも大義あって、非暴力を貫くのか、それとも人助けのために戦うのか。それらを問いかけるアシェラッド。
今のトルフィンにとって、重要な選択を迫られた時に思い浮かぶのは父トールズではなく仇敵アシェラッドなんですね。父の戦う姿をほとんど見ることがなかったのに対して、戦場でいくつもの窮地を切り抜けてきたアシェラッドの姿はやはりトルフィンの中で鮮明に残っているのかなと思うと……なんかもう……何にも言えねえ……。というかアシェラッドさすがにもう出ないだろうなあと思っていたので何回も変な声出ました。喜びのあまり情緒不安定です。

トルフィンが幾人もの命を奪ったことに罪悪感を覚え、罪を背負い、非暴力を誓ったことにはすごく心を打たれました。成長したねって。でも一方で、あの戦い続けた10年ちょっとの経験を全て否定しちゃうのもなんか違う気がするという違和感も少しあって。非暴力を貫くトルフィンはかっこいい、でも強かった頃のトルフィンも好き。
という複雑な思いが、今回解消されるどころか最高の展開で吹っ飛びました。あの地獄のような日々の体験も、この地獄のような時代をこれから生き抜く糧にしてほしかったので、蛇に戦いを挑んだトルフィンが嬉しかったのです。上手く言えないけど。とりあえず物理的に強いトルフィン好き……。
そして単純にバトルアクションが好きなの……ごめん……。