【アニメ感想】ミギとダリ第11話「さかさまの女」【アニメ感想】ミギとダリ第11話「さかさまの女」 |

【アニメ感想】ミギとダリ第11話「さかさまの女」

アニメ

2023.12.122023.12.21

11話のあらすじ

ミギとダリに追い詰められ、全てを語り始めた怜子。それは怜子とメトリーの出会い、そしてミギとダリ出生の物語。
完璧な家族に憧れを抱いていた怜子は医者の男・瑛と結婚し、幸せな家庭を築くはずだった。家政婦のメトリーを雇うまでは……。

11話の感想

ついに明かされた一条家の秘密とメトリーの真実。それは想像していたものよりずっとおぞましくて悲しい物語でした。

完璧な家庭に憧れを抱いていた怜子。彼女は医者の瑛と結婚し、理想通りの完璧な家庭を手に入れるべく新生活がスタート。
そんな怜子の前に現れたのは家政婦のメトリー。彼女はミギとダリにそっくりな長い金髪の美しい女性。しかしその実は世間知らずで何をするにしてもドジばかり。怜子は最初こそそんなメトリーに呆れていたようですが、「奥様のような完璧な女性になりたい」と憧れを口にするメトリーと次第に実の姉妹のような愛情を抱き始めます。
家政婦のメトリーが瑛と不倫関係になり怜子とどろどろの愛憎劇を繰り広げるのかと思っていたので、この関係はかなり意外でした。このままの関係が続いていれば誰も不幸になることはなかったのに……。

幸せな日々が崩れ始めたきっかけは怜子が子どもを産めない体だと医師に告げられたことでした。
完璧な女であることを周囲からも、そして自分自身からも求められていた怜子はショックのあまりとんでもない奇行に走ってしまうことに。
なんと背格好の似ているメトリーに自分のネグリジェを着させ、夫の瑛と寝床を共にするよう強いたのです。あまりのおぞましさに絶句……。
瑛には自分の不妊を知らせないままメトリーに自分の子を産ませようとする怜子に、憧れを抱いていたメトリーもその狂気性にドン引き。けれど逆らうことはできず、怜子に覗かれながら何度も瑛の相手をすることに。
そうして怜子の目論見通りメトリーは懐妊するも、その頃には瑛が勘づきメトリーに想いを寄せてしまい、完璧を求めていた怜子は実の子を生むという夢どころか愛する夫すら失ってしまいます。因果応報にしてもやるせない展開。

しかしまだまだ終わらない怜子の狂気。
彼女は瑛の子を産んだメトリーを地下室に閉じ込め“悪魔の女”を退治したことで不妊が解消、瑛との間に自分の子（瑛二）を成したと語りましたが、実はこれも全て彼女の妄言だったことが判明。
実はメトリーは3人の子を産んでいて、唯一の黒髪だった男の子を自分が産んだことにしてメトリーのもとから奪い去っていたのです。それこそが瑛二。
クリスマスの夜、メトリーが瑛二の部屋の窓に現れた本当の理由は、実の息子である瑛二を迎えに来ていたから。
瑛二が窓から突き落とした女性を怜子が「お化け」と洗脳のように言い聞かせたのは、メトリーが瑛二を取り戻しに来たことに気づいたからだったんですね。
つまりミギとダリ、瑛二は瑛とメトリーの子でおそらく三つ子。一卵性と二卵性が混ざったかなり珍しいタイプの三つ子でしょうか。華怜もよその家から連れてきた子と判明しているので、怜子の本当の子どもは1人もいなかったというのが真実でした。
完璧を求めすぎた結果、何も手に入らなかったというのが皮肉……。

洗脳プログラムから解かれ全てを思い出した瑛二と追い詰められオリゴン村から逃亡することを決意した怜子はミギとダリ、瑛と華怜、そして巻き込まれた丸太を地下室に閉じ込めます。
瑛二と共に新たな地でもう一度完璧な家族を作り直すと決めた怜子でしたが、狂った家族に絶望した瑛二は怜子を包丁で刺し屋敷に火をつけ……。
完璧だったはずの一条家は偽物の愛情がミギとダリの登場によって崩壊し始め、最後には屋敷ごと炎上していく。実の母であるメトリーと、実の母だと思いこんでいた怜子、どちらをも手にかけてしまった瑛二の心中を思うとあまりにも辛い真実でした。

怜子役の朴璐美さんの怪演も相変わらず鳥肌モノでしたが、今回印象的だったのはメトリー役の諸星すみれさん。実はメトリーだけでなく幼少期のミギとダリも兼役で演じています。
知る限りではすみれちゃんが母親役を演じるのはこれが初めてだと思いますが、だからこそかなり意外な配役で驚かされました。幼いミギとダリの声もまるで別人に聞こえるのが本当にすごい。正直、村瀬歩さんと堀江瞬さんなら幼児役も余裕なのではと思わないでもないですが、すみれちゃんが上手すぎて文句なし。
どろどろとした人間ドラマが描かれるからこそ、実力派声優陣によるお芝居がより光りますね。