10話のあらすじ
サマースクール最終日、姿を消した流鶯。彼のおばあ様が住む施設に行ったのかもしれないと潤平と都は電車を乗り継いで流鶯を探しに出かける。その道中、都は森家の複雑な家庭環境と脈々と続く呪いについて語り出す。
アジア人であるが故にロシアのトップになれなかったおばあ様は日本人と結婚し千鶴を産むが、その後ロシア人の男性との間にもう1人の娘を産んでいた。千鶴にとっての異父妹である真鶴はバレエの才能を持っていたがおばあ様のところから逃げ出し、いつしか彼女の息子である流鶯がおばあ様のもとへ預けられ……。
10話の感想
青春のきらめきと地獄を切り取ったあまりにも美しくて残酷な総合芸術。幼い都が浮世離れした洋館で、魔女のようなおばあ様と捕らえられたお姫様のような流鶯と出会うところから始まる物語はまるでおとぎ話のようでもあります。
そんな都の口から語られた森家の複雑すぎる環境と、バレエに取り憑かれたおばあ様が流鶯にかけた呪い。
千鶴さんと真鶴さんは異父姉妹であること、アジア人ではロシアでトップになれないことを悔やんだおばあ様が自分の叶わなかった夢を叶えるためにロシア人との間に真鶴を産んだこと、しかしバレエダンサーではなくアイドルを選んだ真鶴の代わりに流鶯が夢の代償になったこと……。
半地下の小さな部屋で日々おばあ様との厳しいレッスンを強いられていた流鶯、しかしそこに都が現れたことから物語は動き出します。
流鶯にとっては外からやってきた都は光そのものだったのかもしれません。成長した今でも都に依存し続けていたのも、他に頼れる人がいなかったからなんでしょうね。
一方で都自身も、千鶴さんや流鶯から向上心のなさを指摘され続け苦しんでいました。都にとってバレエは楽しむものでプロを目指しているわけではないのに、周囲からその期待を押し付けられるのはかなり辛かったはず。でも逆に、才能がないからと期待されず楽しんでやってればいいよと突き放されるのもすごく辛い……。
都と流鶯、それぞれ全く違う悩みや辛さを持つ者同士が、お互い自分のないものを持つ相手に依存する。2人はそんな関係性にも思えました。
この作品、愛と呪いが一つの大きなテーマのように思えます。1話から潤平がバレエを本格的に始めるまでは、男らしさという呪いが描かれました。一方、流鶯はおばあ様から真鶴さん、そして流鶯へと続くバレエへの歪んだ執着という呪い。
流鶯は何度も都や潤平の手を取る機会を与えられていながらそれでもおばあ様を切り捨てられないのが、あまりにも毒親のそれで……心底ゾッとしました。
でも当の呪いをかけた張本人は認知症でもはや流鶯のことを認識すらできない。結局おばあ様は真鶴さんのことしか見ていなかったんだというのがあまりにも辛かった。この呪い、どうやったら解けるんだろう。このままではあまりにも流鶯が辛すぎて。
とにかく見ていて辛い、しんどいんですが、それ以上に構成と音楽と映像が本当に美しくてそのバランスが凄まじかった。こんな美しい地獄ってあるんですね……。
息を忘れるほど完成度の高い総合芸術でした。
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