【アニメ感想】ゾン100～ゾンビになるまでにしたい100のこと～第1話「アキラオブザデッド」【2023夏アニメ】

アニメ

2023.07.102023.07.17

1話のあらすじ

憧れの制作会社に就職しやる気に満ち溢れていた天道輝（CV.梅田修一朗）。しかしそこは入社1日目から完徹で残業、家に帰れたのは数日後、おまけにパワハラ上司と典型的なブラック企業だった。極限状態の中で転職や退職を考える暇もなく忙殺された日々を送る中、次第にうつ病になり自殺まで考え始めていた輝だったが、ある朝家を出ると町にはゾンビが溢れていて……。

1話の感想

・ゾンビに救われる新しい主人公
主人公は夢と希望を胸に就職したもののそこがブラック企業だった不運なサラリーマン・天道輝。徹夜残業は当たり前、言うことがコロコロ変わるパワハラ上司に憧れの人は社長の愛人と地獄のような日々。次第に精神を病みうつ病になり始めていたアキラでしたが、そんなある日突如町にゾンビが出没。アキラも襲われかけますが、街中にゾンビが溢れている光景を目にしたことで、「あれ？今日から会社行かなくていいんじゃね？」と気づきます。
会社という檻から解放され、ゾンビに追いかけられているというのに大喜びするアキラ。
ゾンビに襲われて歓喜する全く新しいゾンビアニメが始まりました。

・ブラック企業の描写が精神的にクる
こんな会社が今の時代に本当にあるのかはともかくとして、アキラが入社してゾンビに襲われるまでブラック企業での日々がかなりたっぷりと描かれます。それが中々に見ていてキツイ。
先輩たちは栄養ドリンクを飲みながら最悪の顔色で朝も昼も夜もパソコンに向かい、寝泊まりはデスクの下。パワハラ上司は新人が質問すれば「そんなことも自分で考えられないのか」と怒鳴り、自分の判断で行えば今度は「なんで勝手なことしたんだ」と怒鳴り……。
挙句の果てに、アキラが入社当初から想いを寄せていた唯一の良心である美人の先輩は社長の愛人だったという救いのない展開。
鬱になったアキラが通勤中、駅のホームに設置されたドアを見ながら「これがなければ会社に行かなくていいのに」と呟くシーンにはゾッとします。電車が来なければ会社に行かずに済むという意味なのか、ドアがなければ線路に飛び込めるのにという意味なのか……。
仕事が理由で精神を病んだことのある人やうつ病経験者の方にはちょっと見るのがしんどいかもしれません。

出典：TVアニメ『ゾン100～ゾンビになるまでにしたい100のこと～』公式（@Zom100_anime_JP）より

・モノクロの世界がカラフルな世界へ
入社時には希望に満ち溢れていたアキラの世界。しかし会社の現実を知り忙殺されていく中で、彼の世界は徐々に色を失っていきます。精神を病んでしまった頃には完全にモノクロの世界に……。
しかしゾンビが出現しもう会社に行かなくていいと知った時、空はどこまでも青く、血は真っ赤に染まり、彼の世界に色が戻ってきます。前半でしっかりと暗く辛い会社での日々を描いたからこそ、アキラの世界に戻って来たカラフルさがとんでもない爽快感！
それまでは暗い会社、狭い部屋と閉塞感が強調され、そこから一気に空の高さと青さ、空間を見事に活かした奥行で解放感が溢れる演出が素晴らしい。
またゾンビが人間を襲う描写は結構リアルでグロテスクなんですが、ゾンビの血（？）や体液（？）がまるでインクのようなビビットカラーなのもあって、グロくなりすぎていないのがまた素敵。日曜の午後5時という時間帯もあっての演出でしょうか。

・作画がかなり魅力的
冒頭のゾンビ映画のシーンから度肝を抜かれましたが、作画がかなりハイレベル。とにかく良く動きます。アキラがマンションの中でゾンビから逃げるシーンは股下をすり抜けたり屋上から隣のビルにジャンプしたりと、バトルアニメやパルクールのような疾走感があってとにかくかっこいい。
動きのないシーンでも非常に作画が安定していて、アニメーションとしての面白さも存分に楽しめそう。
ちなみにうつ病でまともな食事も取っていないのにゾンビから余裕で逃げ切るアキラがなんであんなに動けるのかちょっと気になったんですが、大学時代はラグビーやっていたっていうさりげない情報が伏線になっていたのは良かったです。

・日5枠にふさわしい注目の新アニメ
この日5枠は復活以前から数々の名作を生み出してきたアニメファンからも人気の高い時間帯。毎週Twitterのトレンドを席巻した「機動戦士ガンダム水星の魔女」の後枠としてはちょっと弱いかなと思っていたんですが、その不安を吹き飛ばすほどインパクトのある1話でした。
ハイレベルな作画と疾走感溢れる演出、そしてゾンビアニメに新しい風を巻き起こしそうな話題作になりそうです。