24話のあらすじ
定期演奏会、最後の演奏。それは故郷チェコを離れ新大陸アメリカへと渡ったドヴォルザークが作曲した「交響曲第9番『新世界より』」。
演奏の中で、部員たちはそれぞれの「新世界」に想いを馳せていく。ある者にとってはオケ部が「新世界」、そしてある者にとってはこの演奏を終えて「新世界」へと旅立っていく寂しさを抱えながら……。
24話の感想
ドヴォルザーク作曲の「交響曲第9番『新世界より』」。それはチェコ生まれのドヴォルザークが故郷を離れ、新大陸アメリカへと渡る物語。
全4楽章あり、それぞれの楽章によって全く雰囲気が異なるものの全体を見ると一つの流れとして物語になっているのがクラシックならでは面白いですね。
そしてこの24話ではそれぞれの楽章によって、語り手が変わっていきそれぞれの思い描く「新世界」が綴られていきます。
まず「第1楽章 Adagio–Allegro molto」。
佐伯くんが思いを馳せるのは大海原を船に乗って新大陸へと渡るドヴォルザーク。その姿に重ねるように、かつてドイツから日本へと渡る飛行機の中から見た空と眼下に広がる日本の街並みを思い出す佐伯くん。不安とわずかな高揚感と緊張、でも一歩踏み出してしまえばそこに待つのは新しい出会い。
佐伯くんにとってはこのオケ部こそが「新世界」。
「第2楽章 Largo」。
「新世界より」の中では最も静かなパートで、物悲しくも温かくも聞こえます。
そこに想いを馳せるのはヴィオラのパートリーダー・木村先輩。前半はほぼセリフはなく、映像と音楽だけで見せる構成。それでも、友達と一緒にオケ部に入ったものの友達含め新入部員が次々と辞めていき最後には木村先輩だけが残ってしまった物悲しいストーリーがしっかりと描かれています。しかし彼女は1人取り残されたわけではなく、原田先輩や米沢先輩などちゃんと仲間はいたよという温かみのあるお話。
最後は現3年生たちが終わってしまう部活動への切なさを語りながら静かに曲も終わるという、夕焼けのような寂しさと美しさの残るパート。
「第3楽章 Scherzo:Molto vivace」。
ここでようやく我らが主人公・青野くんのターン到来。
父のスキャンダル発覚後は周囲の音がとにかく煩わしくて辛かったという青野くん。けれど律ちゃんと出会い、オケ部に入ってからは電車の音や律ちゃんの駆けていく足音など日常の何気ない音を聴いては「3拍子かな、2拍子かな」と楽しめるようになった様子。
また幼い頃、「3拍子は馬の足音を想像して弾け」と父に言われたものの馬を図鑑でしか見たことがなかった青野少年に、父が乗馬をさせて3拍子を体感させる思い出も。以前も思いましたが、父・龍仁は不倫のことさえ除けば指導者としては素晴らしい一面も持っているんですよね。頭ごなしに教え込むのではなく、ちゃんと本人に体験させて自分だけの音を出させる。青野くんが演奏者として素晴らしいのはこういう指導のたまものでもあるんだろうなあ。
そんな青野くんにとっての「新世界」もやっぱりオケ部。
そして「第4楽章 Allegro con fuoco」。
「新世界より」の中ではおそらく一番有名なパートですね。青オケでこの曲が「新世界より」だと知ったんですが、本当にかっこいい。
さてそんな最後のパートの語り手はオケ部の部長・立石先輩。原田先輩のようで目立つ存在ではないものの、大所帯のオケ部をまとめ上げるしっかり者という印象。けれど実は担当のフルートでは練習中に何度も鮎川先生に厳しく指導されてきた意外な一面も。演奏技術ではなく、純粋に人柄で部長に選ばれたというのもすごいですね。
休みもなく毎日が部活漬け。満足に遊ぶこともできず、ほとんどが辛い練習ばかりの3年間。それでも「後悔はなかった」と言える立石部長、それが本気で取り組む部活の真理なのかなと感じます。
また印象的だったのは原田先輩と羽鳥先輩の会話。いつも笑顔で誰にでも優しい原田先輩がこの時ばかりは笑顔も優しさも捨てて、「お前の中途半端はみんなの邪魔になる」と厳しい言葉。鮎川先生に何度説教されてもケロリとしていた羽鳥先輩がこの時ばかりは真剣な表情をしていたので、しっかりと胸に刺さったんでしょうね。
オケ部にやってきて「新世界」へと足を踏み入れた1年生たち、定期演奏会を終えて「新世界」へと旅立っていく3年生たち、そしてそんな3年生たちから様々な想いを受け継いだ後輩たち。
感無量の素晴らしい最終回でした。
第2話の青野くんによるソロ「カノン」の演奏以降は作画の低迷が目立ち、オーケストラ関係なしの人間関係がメインになって本筋から遠ざかる箇所もあったものの、ラスト2話の定期演奏会本番は本当に素晴らしかったです。オーケストラとクラシックへの理解度が少しだけ深まった気がします。
第2期の制作も決まったそうで、今度は全編しっかりした作画で見られたらいいなあ。
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※本ページの情報は2023年4月時点のものです。
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