当ブログでは主に最新アニメの感想・レビューを扱っていますが、今回から少し懐かしいアニメのレビューも始めることにしました。あまり知られていない隠れた名作や、最近アニメを見始めた人にもぜひ見てほしいオススメアニメなどを取り上げていく予定です♪
今回レビューするのは2003年に放送されたTVアニメ「エアマスター」です。
「エアマスター」とは?
「エアマスター」は1996年~2006年までヤングアニマルで連載されていた青年向け格闘・ギャグ漫画。作者はドラマ化もされた人気漫画「ハチワンダイバー」などで知られる柴田ヨクサルさんです。
主人公は女子高生の相川摩季。身長180cm超えの恵まれた体格と、元体操選手としてのバランス感覚と空中での身のこなし、そして生まれ持った天才的な格闘センスを駆使して、無敵のストリートファイター「エアマスター」となった彼女が数々の強敵たちと激闘を繰り広げる物語。
ストリートファイトは文字通り街中で行われる喧嘩の延長のようなもの。本作に登場する多くのストリートファイターたちも身一つで殴る蹴るといった戦い方ですが、主人公の摩季が体操の動きを取り入れた空中戦を得意とする他、三節棍を使う伸之助や自転車に乗って戦う麗一、太極拳や中国武術、プロレスなど多種多様な格闘技が登場します。全く異なる格闘スタイルのファイター同士が戦う異種格闘戦が描かれるのが本作の魅力。
武器を使うファイターが少なく、また登場人物のほとんどが異常にタフで頑丈なので、激しいバトルアニメでありがちな手が吹っ飛んだり刺されたり斬られたりのようなグロテスクな描写がないのも安心して楽しめる点。
ただしその分、生々しく泥臭い戦いが多いので流血描写が多いので苦手な人は要注意。と言っても、重傷を負っても次の日にはケロリとしているキャラが多く、モブ含め死者は1人も出ないのでご安心を。
荒削りながらもアツいバトル描写
「エアマスター」を制作したのはアニメ制作会社としては最古参かつ大手の東映アニメーション。「ドラゴンボール」や「美少女戦士セーラームーン」「プリキュア」など数多くの人気長期シリーズを手掛けていることでも知られています。
シリーズディレクター(監督)は「ドラゴンボール」(~Zまで)や「ふたりはプリキュア」の監督も務めた西尾大介さん。
「エアマスター」放送の翌年には「ふたりはプリキュア」が始まったことから、初代プリキュアでの激しいバトル描写は「エアマスター」から影響されたのでは、なんて噂もあります。
キャラクターデザインと総作画監督は知名度・人気共に高いアニメーター・馬越嘉彦さんです。
「おジャ魔女どれみ」シリーズや「僕のヒーローアカデミア」のキャラデザとして知られる他、神作画アニメとして有名な「カウボーイビバップ 天国の扉」や「ストレンヂア 無皇刃譚」などにも原画として参加。馬越さんの名前がクレジットにあるだけでテンションが上がるアニメーターさんです。
全27話のうちアクションがない話数がないほど濃密な格闘アニメであるが故に、全体を通して作画は荒々しく令和のハイクオリティなアニメに慣れてしまっているとお世辞にもキレイな作画とは言えません。
しかし他のアニメとは一線を画す大胆で斬新な構図や、全話ではないものの滑らかで大迫力のアクションは格闘・バトルアニメ好きなら一度は見ておきたいところ。
特に第1話の摩季VSルチャマスター、第10話のルチャマスターVS金次郎、第25話のジュリエッタVS小西、最終話の渺茫戦などはかなり見応えありでオススメ。
著名なアニメーターとしては他にも「ゴールデンカムイ」のメインアニメーターや「ONE PIECE FILM RED」の作画監督を務めた羽山淳一さんや、「ONE PIECE」ホールケーキアイランド編以降ほぼ全話で総作画監督を務めている市川慶一さん、同じく同作品で数多く作画監督を務めている新垣重文さんなどが原画や作画監督として参加されています。
強烈な個性のキャラクター達と超豪華声優
「エアマスター」最大の魅力はなんと言っても超強烈な個性を持つキャラクター達による、噛み合っているようないないようなインパクトのある名(迷)台詞たちです。登場するほぼ全キャラに名(迷)言があるのではと思うほどみんなぶっ飛んでいます。
一歩間違えれば死ぬかもしれない、ギリギリの死闘を繰り広げたかと思えばその直後にエビシュウマイを奪い合ったり、焼肉の概念(?)について議論を交わしたり……とにかく突拍子もないギャグの連続。
「ゴールデンカムイ」のようなぶっ飛んだキャラばかりが登場する作品が好きな人には特にオススメです。
そしてそんな魅力的なキャラクター達を、超豪華な声優陣が演じており、今だったらありえない豪華キャスティングとなっているのも見どころの一つ。
ここではそんなキャラクター達の一部とその声優さんをまとめてみました。
相川摩季
主人公。女子高生。元体操選手。自分より大きい男達相手にも一切怯まず勝ち続ける無敵の「エアマスター」。戦った相手の技を吸収して進化を続ける。見た目とは裏腹に純情で乙女。かわいい。パンチラしまくるが視聴者からは特に嬉しくないと評判。
CV.朴璐美
代表作:「鋼の錬金術師」エドワード・エルリック、「進撃の巨人」ハンジ・ゾエ
女子高生役の朴さんが聴けるのはおそらくエアマスだけ。かっこいいのに可愛い、まさにハマリ役。朴さんが好きならとりあえず見よう。
坂本ジュリエッタ
割と序盤に登場するが作中でもトップ3に入るほど強い。摩季に一目惚れし襲ってくるヤンデレ。異常に打たれ強い。「たとえばおまえらがその昔、幼き頃捨てられて凍えてる仔犬を助けた事があるとしよう……でも死ね」などの超有名なセリフはこの人が元ネタ。作中トップクラスの変態。
CV.堀内賢雄
代表作:「ONE PIECE」錦えもん、「ゴールデンカムイ」菊田特務曹長
かっこよさと気持ち悪さのバランスが絶妙。普段の低音ぼそぼそ声から摩季の前でだけハイテンションになるギャップがクセになる。賢雄さんのイイ声を堪能できるのでオススメ。
中ノ谷美奈
摩季とは別の高校に通うお嬢様。次元を超えた巨乳のせいで色々と不憫な目に遭いがち。明らかに摩季に恋愛感情を抱いている。ので摩季に好意を寄せるジュリエッタや伸之助に嫉妬心剥き出し。
CV.ゆかな
代表作:「コードギアス 反逆のルルーシュ」C.C.、「ふたりはプリキュア」雪城ほのか/キュアホワイト
最初は内気でお淑やかなお嬢様キャラだったが摩季への思いが強すぎてヒステリックになる場面も多く、めちゃくちゃゆかなさんが叫んでいる。時折ゆかなさんボイスの可愛さに瀕死のダメージを食らうので注意。
乾 蓮華
どこからどう見ても小学生の幼児体型だが女子高生。見た目によらず大食い。色々ぶっ飛んでる。根は優しく人懐っこい。美奈と蓮華、みちる(CV.浅野真澄)、ユウ(CV.鈴木麻里子)の4人でいつもつるんでおり、摩季の親友たち。
CV.金田朋子
代表作:「あずまんが大王」美浜ちよ、「BLEACH」ネル・トゥ
役に負けず劣らずの飛び道具。金朋さんの他に蓮華を演じられる人がいただろうか……。
崎山香織
自称「未来のスーパーモデル」。異常なまでのナルシストで高飛車。偶然知り合った摩季に張り合う内にストリートファイターになる。土井さんの熱演も相まって作中1のおもしれー女。
CV.土井美加
代表作:「ONE PIECE」コビー、「超時空要塞マクロス」早瀬未沙
とにかく叫びまくるので土井さんの喉が心配になる。しかしこの熱演があったからこそ崎山香織の良さが際立っている。
佐伯四郎
摩季の父。プロの総合格闘家。かなり強いがアニメではあんまり見せ場がない。女好きで摩季からは煙たがられている。前妻(摩季の母)が亡くなって別の女性と再婚、みおりという小学生の娘(摩季の異母妹)がいる。みおりも格闘家。
CV.古川登志夫
代表作:「ドラゴンボール」ピッコロ、「ONE PIECE」ポートガス・D・エース
飄々としているのに声から滲み出る強者感……まさに古川さんの専売特許。個人的には古川さんの演じた役の中でも特に好きなキャラの1人。誰にも真似できない抜け感がクセになる。
深道
中盤から最終話までの「深道ランキング編」の最重要人物。とある人物を倒す為に全国のストリートファイター達を集め「深道ランキング」を始めた。本人はあくまでも主宰でランキングには参加していないがかなり強い。深道信彦という色々と不憫な弟も登場。
CV.子安武人
代表作:「銀魂」高杉晋助、「ジョジョの奇妙な冒険」DIO/ディオ・ブランドー
クセの強い役を演じることが多い子安さんだが今作では(周りと比べると)常識人の深道を爽やかに演じている。見た目は怪しい風貌ではあるものの爽やか系イケボな子安さんが好きな人にオススメ。
時田伸之助
摩季と同じ高校に通う三節棍の使い手。礼儀正しく真面目なイケメン。摩季に負けてから片思いするようになるも奥手なので全然報われない。「深道ランキング編」以降はほぼ出番がない。原作では大成長を遂げるので気になる人は読もう。
CV.関智一
代表作:「Fateシリーズ」ギルガメッシュ、「呪術廻戦」パンダ
とにかくひたすらかっこいい関さんを堪能できる。声は少し高めでザ・イケボ。中盤から出番がないのが本当にもったいないくらい見た目も中身も声もかっこいい。
ルチャマスター
第1話で初めて摩季と戦ったストリートファイター。メキシコプロレス「ルチャリブレ」の使い手。登場するファイターの中では恐らく最年長。実力はそれほどでもないが熱血漢でみんなの精神的兄貴分のような存在。語り口が独特。
CV.石塚運昇
代表作:「ポケットモンスター」オーキド博士、「ONE PIECE」黄猿/ボルサリーノ
まだ少し声が若い頃の運昇さんがかっこいい。淡々としているようで情熱的、クールなようで熱い、そんな独特な個性のルチャマスターにぴったり。
武 月雄
工事現場で働くストリートファイター。掘削機のように高速パンチを連打する技を持つ。割と面倒見が良く見かけによらず優しい一面も。「頑丈だけが取り柄です。お母さん、ありがとう」という謎の迷言通りかなりタフ。
CV.植村喜八郎
三島 麗一
月雄を慕っている自転車使い。BMXに乗って戦う。登場するファイターの中では最弱クラス。摩季の友人・美奈に好意を寄せているが見向きもされない。「黒正義誠意連合編」では弱いながらもかなり頑張る。
CV.阪口大助
代表作:「銀魂」志村新八、「血界戦線」レオナルド・ウォッチ
お調子者で泣き虫だけど仲間思い。そんな感情表現な豊かな麗一を阪口さんが演じることによって絶妙に憎めないキャラクターになっている。個人的に好きなキャラの1人。
北枝 金次郎
北海道の不良軍団「黒正義誠意連合」のリーダー。その強さと男気で仲間から尊敬されている。摩季と死闘を繰り広げ、その後エアマスターと再戦するために深道ランキングに参加。終盤はなんか色々大変な目に遭う。
CV.伊藤健太郎
代表作:「BLEACH」阿散井恋次、「ゴールデンカムイ」白石由竹
熱血、クソ真面目、男気、そして声のデカさ。あまりにもイトケンさんの声がハマリ過ぎている。正統派イケメンを演じるのは意外と珍しいかも。イトケンさん好きなら絶対に見るべき。
長戸
「黒正義誠意連合」の一員。金次郎を「金ちゃん」と呼び度の超えた恋愛感情を抱いている。「男でも子どもができるのを知ってるか?」などジュリエッタを超える変態。確実に2mは超えている巨体の持ち主。
CV.郷里大輔
代表作:「ドラゴンボール」ミスター・サタンなど、「キン肉マン」ロビンマスク
今は亡き郷里さんの貴重なお声が聴ける。郷里さんの渋い低音だからこそ、長戸の気持ち悪さがより際立つ。
サンパギータ・カイ
女子プロレスの選手。リングネームは「スカイスター」。摩季が崎山と組んで女子プロレスの全国タッグチャンピオンに参戦した時の相手。摩季と再戦する為にストリートファイターになる。必殺技は師匠直伝の「居酒屋ボンバー」。とある人物の妹。
CV.石塚理恵
屋敷 俊
「深道ランキング編」から登場。関西弁。相手の内臓に直接響く中国武術の“浸透勁”の使い手。ランキング9位という上位ランカーとして登場するも作中ではあんまり好成績を残せていない。とある人物の前ではトラウマのせいで劇的に弱くなる。
CV.田中一成
代表作:「ハイキュー‼」烏養繋心、「プラネテス」星野八郎太<ハチマキ>
田中さん好きなら絶対に見るべき超ハマリ役。特にジュリエッタ戦はものすごいセリフ量で聴いてて最高に楽しい。
駒田シゲオ
「深道ランキング編」から登場。格闘ゲーム「バーチャルファイティンガー」のキャラ・アキオの動きや技を完全再現して戦う異色のファイター。アニメでは1話のみの登場。
CV.三木眞一郎
代表作:「BLEACH」浦原喜助、「名探偵コナン」萩原研二
アキオのモデルとなった「バーチャファイター」の結城晶と同じく三木さんがキャスティングされるという粋な演出。もっと活躍を見たかった……。
皆口由紀
作中最強の女。深道ランキング4位。摩季に(ジュリエッタを除けば)初めて恐怖心を抱かせた人物。美人だが冷たく恐ろしい。合気道の使い手で、貫手(手の指をまっすぐ伸ばして相手を突く技)がめちゃくちゃ怖い。
CV.小山茉美
代表作:「ONE PIECE」ビッグ・マム(2代目)、「名探偵コナン」ベルモット
声自体は柔らかいのに地を這うような冷気を感じる不思議なお声。数々の強い女を演じてきた小山茉美さんにぴったりの役。
小西良徳
「深道ランキング編」から登場。深道ランキング3位。サブミッションハンターを自称する関節技の達人。ジュリエッタとの一戦は本作屈指の名バトル。「焼肉は偉いよ、美味いから偉い」という迷言を残した。
CV.小西克幸
代表作:「鬼滅の刃」宇髄天元、「ゴールデンカムイ」鯉登少尉
小西繋がりでキャスティングされたわけではない。たぶん。この当時はまだ若手だったこともあって少し声が若いものの、めちゃくちゃかっこいい。
この他にも忍者の末裔・尾形小路役の緑川光さんやラスボスの最強キャラ・渺茫役の西凜太朗、野島健児さんや稲田徹さん、皆口裕子さんなど錚々たる面々が出演されています。
「エアマスター」はどこで見られる?
主要な動画配信サービスを調べてみたものの、残念ながら2024年2月現在「エアマスター」を配信しているサービスはないようです。
そのため「エアマスター」を見るならBlu-ray&DVDを入手するしかありません。
とりあえずどんな話か気になる人は原作コミックス1巻もオススメ↓
全巻揃えたい人は「漫画全巻ドットコム」がオススメ↓
今後も懐かしのアニメをレビュー予定♪
2003年放送のTVアニメ「鋼の錬金術師」をレビューしました!
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